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「児島虎次郎」
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児島虎次郎
児島虎次郎は1881年に生まれた日本の洋画家です。生家は旅館と仕出し業を営んでましたが、画家を目指していた児島虎次郎は1901年にこの場所を離れ、翌年、東京美術学校西洋画科専科に入学しています。児島虎次郎の作品の特徴といえば、色鮮やかな色彩に繊細さを追求した写実的な表現で描かれた数多くの洋風景や人物です。そんな児島虎次郎の才能は類い稀なるものであり、何と1904年に異例の早さで学校を卒業し、画家人生を歩み始めているのです。そんな彼の作品を語る上で外せない絵画が1910年に制作された「ベゴニアの畠」です。1908年にヨーロッパ留学をしている児島虎次郎は様々な場所を周り絵画方法を身につけています。この絵は彼が1909年に画家である太田喜二郎の紹介によりベルギーのゲント美術アカデミーに入学しています。この時、児島に言われたのが「西洋の模倣ではなく、日本人としての個性を大切にするように」といった言葉でした。その言葉を受けて勉強に励んだ児島虎次郎は印象派の点描技法を身につけます。そのベルギー時代に描かれたのがこの「ベゴニアの畠」なのですが、その写実的ながら温かみに溢れた作品はさすがとしか言いようがありません。樹々の間からこぼれる木漏れ日に談笑しているような二人の語らい風景がなんとも柔和で慈愛に満ちた印象を受けます。点描画風のタッチで絵の具が丹念に塗られた画面は光りと柔らかさに溢れています。児島虎次郎は芸術家として様々な名作を生み出していますが、美術品の鬼集家としても名を馳せています。幾度がヨーロッパに渡っては絵画を買い付けていたと言います。モネやエル・グレコ、ゴーギャンにロダンなど画家として大家である作品を買い集めた児島虎次郎は後の大原美術館建設の礎を築く成果を上げていました。彼の最大の転機ともなろう出来事が、1924年に明治神宮奉賛会より明治天皇を讃える壁画を依頼されたことです。ただし、この作品の制作期間途中、病により志半ばでこの世を去ってしまいました。もし、この壁画が完成していたら世界に誇る大作になっていたに違いありません。日本に美術界に貢献した最も重要な人物といっても過言ではないだろう児島虎次郎。彼に残した足跡は未来に語り継がれて行くのではないでしょうか。