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「塚越仁慈」
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塚越仁慈
塚越仁慈は静岡県生まれの洋画家です。風景画を写実的に描き、その陰影やウソ偽りの無いレアリスムを追求した素晴らしい作品が多く残されています。塚越仁慈は画家を目指し、一旦は上京していますが1970年に武蔵野美術大学を中退しています。その翌年、フランスに渡仏しており、運命を変えた画家であるジャン・ジャンセンに師事をしています。第一美術展において初出品時、大賞候補となっており奨励賞を受賞している経歴も持っています。塚越仁慈はその風景画の多くを海外の自然や街並に焦点を絞り描き続けています。そのため、幾度となく渡欧、特に南欧に多く出向き絵画におけるモチベーションや洗練を求め続けています。フランスで師事をしてジャン・ジャンセンが彼のあるため、自らの原点である南欧に制作ができるうちは何度でも出かけ、そして未だ自分が気付いていない本当に描きたいものを見つけるために出向くと語っています。生涯をかけて、南ヨーロッパと向き合い、自らの芸術を完成させようとしているのです。そんな塚越仁慈の作品の中でも特に目を引くのが水面です。「川辺の片隅」というフランスにある川辺、そして橋とその向こう岸に見える集落を描いた風景画です。この作品も、その精巧な写実性で水面の自然な波立ちが表現されており、まるで現実にその場に立っているのかと見まごうほどです。フランス独特の鈍い空色も美しくたおやかで情緒的なタッチで描かれた構図により、むしろ聡明で陰健な印象すら受けることができるのです。一方、「春を耕す(スペイン)」では一転、油彩独特の立体感を排除し、目の前に浮き上がるような風景を得がいた作品もあります。牧歌的でありながら、純朴、素朴という生温くも気持ちのよい風を感じれる作品になっています。まるで塚越仁慈を表しているのかのような人柄を感じれる作品になっています。塚越仁慈は内閣総理大臣賞やハブスブルグ宮家より王朝芸術遺産賞を受賞しています。日本の美術界において、フランスと日本の芸術の重要な橋渡し的存在である塚越仁慈は未だ、輝き続ける生きる芸術家なのです。