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「掛軸 久保吉郎」
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掛軸 久保吉郎
昭和から平成にかけて活躍する日本画家・久保吉郎。久保吉郎が得意としているのは風景、花鳥といった伝統的な日本画です。現代に活躍する日本画家ながら、古の日本画の美しさを受け継いでいる貴重な画家。久保吉郎は1942年に京都にて生を受けました。堂本印象に支持し、そして東丘社に入塾し、美術を学んでいきます。初の受賞は、1968年の日展にでの入選。この初受賞より17回の入選歴を持っています。現在日展や日本画家協会の会員を務めると共に、百貨店などでの個展を積極的に開催しております。二人展も開催しており、その開催数は20を超えます。鈴木松年の鑑定人でもあり、その鑑識眼も一流です。41回日展に出品した「道」は岩彩による風景画です。全体的に暗いトーンながらも、緑の色彩を細かく分けており、日本的な懐かしさを感じる田舎の一風景を見事に切り取っています。岩彩という画材を使用しているという事もあり、また久保吉郎の作風でもあるのですが、久保吉郎の作品は基本的に洋画のような色彩豊かなものではありません。ただ、限られた中での色彩の使い方が実に見事であり、これが久保吉郎の持ち味となっています。花鳥画である「薔薇」は、日本的なモチーフではない薔薇を日本画的なアプローチで見事に描ききっています。技術的には極めて伝統的な日本画ではありますが、やはり現代を生きる久保吉郎だけあってそのモチーフは日本画の伝統だけに捕われてはおりません。紅葉と小鳥をモチーフにした「霜楓小禽」は、久保吉郎が日本画の伝統をしっかり継承している事をまざまざと見せつけられる傑作です。暗いトーンの風景画とは違い、花鳥画は明るい印象のものが多いです。現在、誕生の地である京都に身をおいている久保吉郎。日本画家界において重要な立場ではありますが、積極的に画家としても活動しています。70歳を迎え、人間的にも画家としても成熟した久保吉郎ですが、まだまだ今後、数多くの傑作を残してくれる事でしょう。
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