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「掛軸 児玉果亭」
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掛軸 児玉果亭
明治の文人画家、掛軸の児玉果亭。南画の山水画が有名で、幼少のころは花鳥画を得意とする佐久間雲窓に就いて絵を学びました。幼いころから習字を得意としたところもあり、その絵からは中国の雰囲気がにじみ出ています。緻密かつ繊細な絵で、見るものを引き付けます。 興隆寺に参禅し、禅、経学、漢学を学ぶなど、幼いころから苦労した人です。その後は、田能村直人に入門し、文人画を学びました。明治11年(1878)には、明治天皇も彼の絵を2作品ご覧になりました。また、絵画共進会での高い評価で、彼の画壇での地位は確立されました。山本凌亭・小坂芝田・青柳琴僊など幾多の門人が集まり、彼の名声は高まりました。主な作品には、「葡萄に栗鼠図」 「宜煙宜雨図」「芭蕉之図」「維摩居士」などがあります。「宜煙宜雨図」は、竹林のたけひとつひとつのたおやかさと、その下に張っているだろう根を創造させる逸品です。注意深く見ると、まるでそこにか細いながらも力強い笹の葉の美しさが際立っています。また「葡萄に栗鼠図」は、第1回東洋絵画共進会で銀牌を受賞。宮内省御用品となっています。彼は主に文人画を描きました。文人画とは、中国で、絵画を職業としない文人たちが描いた画風のことです。墨を使い、ヨーロッパなどにはない独自の描き方で絵を描いていきました。 奥深い描写は、さまざまな色を使った油絵に決して負けることのない表現力を持っています。74年間の彼の人生。読み書きそろばんを習い、よき師匠にもめぐり合い、仏教にも通じた彼の人生は、まさしく文人画を描くためにあったといっても良いでしょう。彼が目指したものは、究極の文人画。つまり、絵で花鳥風月の真髄を描くことではなかったのでしょうか?それをやり遂げられたと彼が感じたかどうかは、もはや誰も知ることはできません。晩年、彼は音楽を好みました。月琴を持ち、自ら演奏して酒宴に興じたといいます。また俳句を好み、好きだった俳人は小林一茶だったということです。彼にはやさしい一面もあり、日清戦争の際には音楽は控えたそうです。彼の墓は、渋温泉寺にあります。
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