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「小山 敬三(こやま けいぞう)」
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小山 敬三(こやま けいぞう)
大正-昭和時代の洋画家。
裕福な商家小山家の三男として1897年信州・小諸(こもろ)に生まれた。
生家は小諸城下荒町で江戸時代から味噌、醤油の醸造業を営み、商の身分でありながら小諸藩から馬廻り格=士分待遇を受けていた。
父、小山久左衛門は短い間であったが若いころ京都に漢学の修行に出かけ、鉄斎と親交を結んだ。
小山家には鉄斎の筆による「家範」があり、少年時代の小山は、この家範を父に暗誦させられたという。
旧制長野県立上田中学校を卒業する頃には画家を志していたが、父は猛反対。やむなく慶應義塾大学予科に入学したが、画家になる夢を捨てきれず、19歳のとき父を説き伏せて慶応を中退した。
「寡黙な色彩」といわれるゆえん
川端画学校で藤島武二に師事し、23歳のとき渡仏。同じ長野県出身の詩人・小説家である島崎藤村の助言に負うところが多かったという。1928年、8年にわたる滞欧生活を終え、夫人であるフランス人、マリー・ルイズとともに「アルカンタラの橋」を携えて帰国した。 小山の特徴は、何と言ってもその対象にある。 「建築物に興味があって」と本人が言うように、モデルは人物や景色といった身近でなじみのあるものではなく、城やダムといった巨大な建物が多い。作品には風景画もあるが、そこにも渓谷や斜面、断崖のようなある種自然の構造物といったモチーフが含まれている。描くものが硬質で無機的であるゆえ、小山の作品は色より形、情趣より構図が追求されている。陶酔を誘うような絵ではなく、圧倒的な密度と重さが迫る画風。「寡黙な色彩」といわれるゆえんでもある。屋根、壁、道路など線と面が重なり、交錯する構成は当然のように力強く骨太な筆致だが、どの絵からもおおらかさと逞しさが感じられる。 代表作の絵画に「アルカンタラの橋」「薄暮」「浅間山」「城」シリーズ。 神奈川県茅ケ崎の竹林に作ったアトリエをこよなく愛した。1987年、89歳で逝去。