人気作家
「安倍安人」
のご紹介

　備前焼の名陶として知られ、その独特な創造性の高い作品づくりで知られているのが、安倍安人です。高い技術を用いた伝統的な作品づくりは、備前の持つ素朴さと無垢さを際立たせながらも、実にモダンな作風を作った事で定評があります。
　安倍安人は、1936年に大阪府に生まれます。数々の苦難を乗り越え人生を歩んだ結果、1972年に陶芸家を目指す事となります。陶芸家という新しいジャンルへの挑戦は、戸惑う事も多いだけでなく、難しいものとなっていました。しかし、元々類い稀なるセンスを持ち合わせていた事もあり、徐々にその実力が向上していきます。まず、大きなポイントとなっていたのは、作陶生活に力を入れるために岡山県牛窓町に自らの窯をかまえた事ではないでしょうか。美に関する該博な知識と自由自在な造形論。陶芸の枠だけでなく、アート作品として扱う、そういった作陶を続けていました。造形論に深く、芸術というものをどういった角度で体現していき、さらにはその延長には何があるのかを追求した作家の一人なのです。また、アート作品を生み出すことは、環境の変化も大きな要因であるという考えから、島根県横田町にアトリエを構え、双方のアトリエで新たなアプローチの陶芸を生み出しました。
　作品の中心は、安土桃山期の「古備前」を正当に継承しています。伝統的な備前の魅力に惹かれた安倍安人は、その大胆な造形力、さらには、自由奔放でありながらも、繊細な芸を尽くした作品を多く生み出し、大きな評価を獲得しています。多くの作品は、メトロポリタン美術館に収蔵され、多くの人々を楽しませています。今後も、安倍安人は買取においても、その名が注目されることでしょう。