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「アンリ・マティス」
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アンリ・マティス
マティスは、1869年フランス北部のル・カトー=カンブレジに生まれた。はじめは法律家を志し、法律事務所で働いていたが、20歳のときに虫垂炎をこじらせ病に伏していた際に、絵を描き始める。これをきっかけに洋画家になる決意をし、翌年パリに向かった。パリでは、ギュスターヴ・モローの教室で学んだ。ここでは、ゴッホやゴーギャン、セザンヌなどの洋画や日本の浮世絵などに学び、影響を受けたという。
野獣派と呼ばれたマティスの初期の作品
マティスの初期の作品は、自由な色彩の表現や単純化されたフォルムなどが印象的な絵画で、野獣派と呼ばれた。「ダンス」はその代表的な作品であり、青・緑・肌色の抑制された色数により画面を塗り分けている。青と緑が背景となり、そのなかで肌色の人物がリズミカルに躍動している。抑えられた色味と計算された色調、単純なフォルムながらも卓越したデッサン力が要求される人物の表現により、画面全体が生き生きとし、より色彩が際立っている。その後も、マティスは家族の肖像や室内の風景を描きながら色と形を主題にし、数々の実験的制作を行う。自分の娘をテーマにいくつもの肖像画を描いたことなどは、その例である。それらの娘の表情はほがらかで、洗練された色彩とのびやかなフォルムが印象的な洋画である。また、数多く手がけた室内の風景の絵画では、室内から見える窓が描かれていることが多い。それらの多くは様々な手法で装飾されており、見る者をどこか異次元へ連れて行くかのような、空間的広がりを生みだしている。様々な実験的作品を残したマティスの絵画
マティスは、晩年、病気により体力が低下したこと、よりフォルム・色彩の純化を追求するためなどから切り絵の制作を始めるようになる。こうして生まれたのが「ジャズ」である。また、この頃マティスは南フランスのドミニコ会修道院の礼拝堂の内装デザインなどを手掛けるが、ここで使われたデザインには切り絵をモチーフにしたものなどが多くみられるという。美しい色彩・洗練されたフォルムの在り方を追求し、様々な実験的作品を残したマティスの絵画は、今もなお多くのデザイン・絵画に影響を与えている。