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掛軸 今尾景年
明治、大正時代の掛軸画家、今尾景年。京都衣棚通二条北入に今尾猪助の三男として生まれます。幼名は猪三郎、名は永勤、字は子裕、号は養素斉といいます。家は代々「伊勢屋」の屋号を持っていて、三井呉服店出入りの友禅皆業でした。青年期までは家業であった友禅染めの下書きをしていました。11歳の時に梅川東居のもとにに弟子入りします。東居は梅川東南の門人で、銅版画の技術も持っていたようです。三年後に、東居のはからいにより鈴木百年に入門。百年の「年」と、絵心のあった父親の尊敬していた松村景文の「景」とを合わせて「景年」と号します。諸家の画法を研究し、花鳥画を得意としました。明治28年「耶馬渓」が第4回内国勧業博覧会に受賞。画檀にデビューしました。花鳥画とは、花や鳥や虫などを描く日本や中国の絵画の総称です。それは山水・人物ともに東洋画のモチーフのひとつです。中国などで発達して、室町時代に日本に伝えられて障屏(しょうへい)画として多く描かてきました。今尾景年の代表作には、「鷲猿図」「松間龍月図」「耶馬渓図」「遊鯉図」「蓮池遊亀図」などがあります。今尾景年は、明治前期の京都画檀で実力を誇っていた実力派にあった鈴木松年と並んで称されました。28年の京都後素協会(旧如雲社)設立に際して委員長になり、37年の帝室技芸員、大正8年には年帝国美術院会員になります。伝統保守派として、晩年まで後進者に指導するなど日本画檀に残した功績はとても大きいです。この間に、明治24年には「景年花鳥画譜」4冊を刊行します。また、海外でもシカゴ万博、パリ万博、セントルイス万博での受賞歴を持ち、精微で写実的な花鳥画は世界を驚かせました。今尾景年は明治2年には既に画の塾を開講して独り立ちしていて、明治期の展覧会や博覧会で次々と受賞していきました。日本美術協会や日本画家協会のどちらにも高位の受賞を重ねていき、京都画檀の中心作家として活躍しました。
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