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掛軸 奥村厚一
幼いころから画版を抱え自然を愛し野山を駆け回っていた昭和時代の掛軸画家・奥村厚一。明治37年京都市北区に生まれ主に得意とするのが風景画。京都市立絵画専門学校を卒業後は同校研究家で学びながら西村五雲に師事しました。奥村厚一を知る人から「特に良く見る人」と語られるほど徹底している写生からの美しい作品の数々は彼のその素晴らしい観察力と純粋な眼差しから生まれたもの。大きな作品も瑞々しく美しいのですがスケッチも大変味わいがある深い作品が数多く残されています。近隣の自然風物をこよなく愛し幼いころから沢山の作品を描いていた奥村は周囲の反対もあり絵画で身を立てる事に懸念もありましたがその夢は実現し昭和49年69歳までの一生を指導者として画家として過ごしました。芸術家独特の尊大な雰囲気のある方では無くいつまでも童心を忘れずお人好しで子供のような親しみやすい画家なのです。昭和4年に第10回帝展にて「山村」画初入選し昭和21年には第2回日展で「浄晨」が特選。昭和23年には山本丘人、秋野不矩、上村松篁、福田豊四郎ら13人のメンバーとで現創画会の創造美術を結成しました。その後は画家として大学教授として活躍され数々の作品をこの世に生み出しました。日展特選作品の「浄晨」は政府が買上し現在は東京藝術大学美術館に収蔵されています。 京都市美術館には「釈迦岳」やスケッチ類が収蔵され奥村が在籍していた京都嵯峨芸術資料館や京都市立芸術大学資料館などにも数々の作品が収蔵されています。さらに自然とお酒を愛した奥村厚一と縁の深い日本酒蔵元の玉村本店運営の酒蔵美術館にも昭和13年の作品「春昼」や昭和17年の作品「林道」など多数の作品が収蔵されています。個人作品集としては「奥村厚一日本画と素描」「奥村厚一作品集」などがあります。幼いころから野山を愛し駆け回ってた頃からの変わらない清らかな作品はみるものを和ませ癒し活力を与えてくれます。
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