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「日本画 酒井三良」
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日本画 酒井三良
酒井三良は1897年に生まれた日本画家です。福島県に生まれた酒井三良は、画家修行としてはじめは坂内青嵐に絵の手ほどきを受けることになりますが、結果的に自らの求める画風との違いを感じてしまい、会津に住み込み独学で絵画を描き続けることになります。院展で活躍することとなる酒井は、その出会いを小川芋銭としています。将来的に院展の同人となる重要人物として美術界に名を馳せて行くことになるのです。酒井三良の作品の多くはのどかな田園風景を郷土愛に満ちあふれた美しいタッチで情緒的に描く、美しい作品が多数あることで有名となります。さらに、その淡く白みを基調としいた作品はどこか繊細であり、緻密な表現力で描かれる日本人の琴線に触れるような作風が多くあるのが特徴でしょう。その酒井三良と、院展の結びつきは第31回院展に出品する「寒江」「菱湖爽涼」を出品したことに始まります。その出品の年の7月には銀座松坂屋での酒井三良展を開催と、非常に画家としても精力的に活動を始めたキッカケともなっています。しかし、住居を様々な場所へ移し、決して豊かと言えない生活を妻と一人娘を引き連れて過ごす酒井三良は横山大観の勧めで太平洋側ののどかな場所で暮らすようになっていきます。戦後、生活も徐々に安定していく酒井三良は自然と親しんでいた経験を元に、日本の風景や四季を愛しその風景を中心に描くようになります。雪国暮らしの経験もある酒井三良が描く「かまくら」は優しい灯火の中、かまくらの中で仲睦まじく過ごす家族の姿が描かれる、心温まる作品です。グレーを基調とし、まさに雪国の温度を感じるかのような、独特の描写が特徴的です。かまくらの入り口に並べられた、家族の履物がどこか郷愁を誘い、家族の暖かさを思い出させ胸を熱くさせるような郷土愛に満ちあふれた作品となっているのです。苦しい日々をくぐり抜けながら作品を描き続け、文部大臣賞などの受賞することになる酒井三良。愛らしい彼の作品から、愛を大切にしたすばらしい芸術家であったことが伺いしれるのではないでしょうか。
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