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「表千家_[六代]_原叟宗左_覚々斎」
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表千家_[六代]_原叟宗左_覚々斎
幼くして師でもあった父を亡くし、18歳で正式に表千家を継いだ覚々斎。52歳で亡くなるまでの32年間を、新しい茶道のあり方の模索に費やした宗匠でした。
覚々斎の茶道は利休流を十分に受け継ぎながらも、闊達で洒脱なものであったと言われています。覚々斎が28歳のときに紀州公についた頼方が、その6年後に吉宗の名で8代将軍となった時代です。元禄から享保へと元号が変わり、町人文化が成熟した時期にあって、茶道のあり方も変化を求められていたといえるでしょう。 その茶風を言葉にするならば「自由」と言えるかもしれません。茶の稽古にいそしむばかりの人を「机ばなれせぬ茶」と評したこともあったそうです。形にとらわれず、茶を楽しむ心を重んじたその覚々斎の茶は、当初は批判を受けたものの、後に多くの門人たちを惹きつけたそうです。
また、当時茶道が果たす社会的役割も変質しはじめており、将軍職についた吉宗と親交があったことも、茶の新境地を開いた原動力であったのかもしれません。さらにいえば、覚々斎、それに続く如心斎による茶の新境地の開拓に当たっては、逆に吉宗との親交が役に立ち、町人に広める助けにもなったと言われています。
侘びと洒落の調和
覚々斎ゆかりの茶道具でもっとも有名なのは、将軍吉宗から拝領した唐津焼の「桑原茶碗」でしょう。独特のその形は確かに茶道の新境地を目指した覚々斎のイメージにぴたりとはまるものと言えるでしょう。覚々斎は、桑原茶碗を拝領したことを格別に喜び、拝領茶碗による茶の作法を特別にしつらえたという話も残っています。 好みとして残されているものは非常に多く、中でも茶碗、棚、茶器、花入、釜などがよく目に付きます。その特徴は、一口でいえば侘びと洒落の調和でしょう。利休流のしっとりとした侘びの風情の中にさりげなく洒脱さが光ります。 息子の7代・如心斎が新しい茶道を確立し、表千家中興の祖と呼ばれていますが、その基盤を作ったのが覚々斎であったのです。その意味で、後の茶道の隆盛の契機を覚々斎の好みの中に見ることができるでしょう。