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「クロード・モネ」
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クロード・モネ
光の粒や漂う大気の一瞬のきらめき、移ろい。これらはっきりと造形できないものを絵画に描き取ろうと終生追求し続けたのが、洋画の印象派の巨匠、クロード・モネである。
モネの人生において大きな転機
モネは1840年にパリに生まれ、幼いころから絵を描くのが大好きな少年であった。10代の後半、ブータンとの出会いが、モネの人生において大きな転機となる。 ブータンは、戸外で制作を行う風景画家で、ル・アーヴルで青空やそこに伸びる白雲、海などを描いていた。そして、モネに、外に出て、大気に触れて絵画を制作することの大切さを教えた。この教えはモネの作品のテーマの礎となったのである。 例えば、モネは朝の川面を描くために、毎朝3時ごろに小舟でセーヌ川に乗り出し、そこにキャンパスを置いて絵を描いていた。この作品では、しんと静まり返った夜の川岸が、次第に朝もやに包まれ、朝日のきらめきを川面に映し出し、大地が目覚め、その胎動が聞こえてくる、といったように、大気の移ろいを画面全体から感じ取ることができる。 戸外での制作を主に行っていたモネの作品のテーマは、ひなげしの花畑やポプラ並木、積わらといった自然の風景の他に、もやに包まれた国会議事堂や蒸気機関車などの都会の風景も含まれる。しかし、そこに共通するのは、空や水、蒸気といったものをテーマにした洋画であることである。洋画でありながら東洋の思想にも通ずるものがあるモネの作品
さまざまな風景を描いてきたモネであるが、次第に自分の家の庭づくりに精魂を傾け、そこに造った睡蓮の池をテーマに制作を行うようになった。 同じ場所でも、毎日毎日、ちょっとした天気の加減や、朝日の中と昼間の光の中とでは、睡蓮の映る池は違う風景になるということが、何枚ものキャンパスを通して浮き彫りにされていった。そこには、まさに作品の対象が、実体を超えて、移ろいゆく目にさやかに見 えないものに絞られていることが明らかになっている。 自然を敬い、瞬時のきらめきを追求したモネの作品は、洋画でありながら東洋の思想にも通ずるものがある。そして、その絵画は今もなお、国境を越えて多くの人に愛されている。