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日本画 村松乙彦
村松乙彦は愛知県に生まれた日本画家。法政大学仏文予科に入学しますが、どうしても画家になりたくて中退。太平洋美術学校油画科で絵を学びました。そして、日本美術学校日本画科卒業。児玉希望に師事。紀元二千六百年奉祝日日本画大展や第4回新文展「珊瑚礁の渚」で入選します。ほか、代表作は浮嶋の朝、快晴などがあります。風景画が多い。昭和17年から18年にかけては従軍画科として、フィリピンやボルネオ、シンガポールなどに赴きました。昭和18年第2回大東亜戦争美術展に出品しています。この数年間、海洋美術展に出品しています。彼は海洋画家としても知られています。(海洋画家とは、海をモチーフにしている画家です)その後ヨーロッパ外遊もして、絵の勉強をしていますが、そのときに多分描かれたベニスの絵は海外の風景画でありながら、なんだかほのぼのとして観ているとほっとします。日展審査員、評議員、大森貝塚保存会副会長など次々と歴任しました。作品は愛知県美術館、山種美術館、津具村文化資料展示センターに所蔵しています。なかなか間近で観られない作品です。印名は乙彦、乙彦信仰、乙、彦、緑松などいろいろとサインに使っています。静物画もパステル調で、トーンも女性が好きな色合いです。「静物ばら」は厚みのあるバラの咲き誇る様子が丹念にしっかりと描かれています。バックの下から上へダークな海の色から浅黄のグラデーションと花器が緊張感を与えている絵です。鉢と果もレモンの黄色とゆずの黄色、夏みかんの少しオレンジのかった黄色、みかんは少し色を異にしたオレンジ色、生き生きとした果物たちが鉢の柄とコントラストを描き、みずみずしい果物が観るものを誘っているような気がします。人物画は時代がかった江戸時代末期か明治の時代のちょっとふるめかしいスタイルをした女の人の絵を何枚か見たのですが、昭和16年の作品の珊瑚礁の渚もその一つで、セピアカラーの沖縄風の髪型の女の人が少し着物を着崩して水遊びをしている様をあらわしています。
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