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「西村龍介」
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西村龍介

西村龍介

西村龍介は1920年に生まれた日本の洋画家です画家を目指し東京美術学校を卒業しています。その後、カワサキ小虎矢沢玄月に師事をし日本画を学ぶのでが、結果的には二科会の会員に抜粋されています。西村龍介といえば、古城を描く作品が非常に多いことで有名です。その有名な古城の風景画は繊細で写実的で風情にあふれるものになっています。さて、渡欧をした際に見せられた古城を生涯のテーマとして描き続けた西村龍介ですが、その作品は洋風のテイストばかりが目立つ、模倣のような作品ではなく、日本画の良さと洋画の良さを混ぜあわせたようなバランスの取られた構図で描かれているのが特徴なのです。そんな西村龍介の作品の中でも「水辺の城」は素晴らしい作品のひとつではないでしょうか。点描法を彷彿とさせる細かく繊細なタッチで描かれたヨーロッパの古城は、その深い歴史の襞を今に伝える、古きよき佇まいとして表現されています。ヨーロッパ独特のグレーに沈む空色も暗くなり過ぎず、バランスの取れたグラデーションで描かれ、非常に幻想的な空間を作りあげることに成功しています。湖面に映る古城と後ろに生えた雑林達の淡いブルーでまとめられた色彩が何ともいえず、懐古的な気持ちにさせてくれるのです。この作品でわかるように、西村龍介の絵画は清明の光り輝く美しい色彩を用い、洗練されたモダンなタッチで描く城やその周辺の群像は見る者の心を掴んで離しません。古城シリーズを描くにあたり、幾度と無くフランスを中心とした周遊を繰り返す西村龍介ですが、このプロジェクトが美術業界でも高い評価を得ます。フランスの古城を日本、洋の技術を織り交ぜ作り上げられた個展「西村龍介 水の抒情詩」が非常に高い評価を得て、芸術選奨文部大臣賞を受賞したのです。その後も数々の功績を残していき、独特のマチエールと端正な描写、明快な構図、この古城シリーズを編纂した作品集「西村龍介画集」も発表しています。日本とヨーロッパの芸術も挟まに立ち、揺るぎない歴史の足あとを描き続けた西村龍介は永遠の芸術家として活動し続けたのです。