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「曽宮一念」
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曽宮一念
曽宮一念は1893年生まれの洋画家です。本名は下田喜七といい、東京都出身です。黒田清輝などの名立たる画家達の教えを乞い、その後、東京美術学校に入学しています。そして卒業後は山下新太郎の師事をしており、数多くの技術をい吸収しています。曽宮一念は雄大な自然を好んで描き、特に山を題材にした作品を多く輩出しています。信州の焼岳を始め日本の名山を彼なりの目線とタッチで雄大かつ奔放に描いたその作品郡は見るものを爽快な気分にさせる、人気のある名作ばかりです。その中でも、山と雲の組み合わせが雄大なバランスで描かれた山脈の数々には定評があります。「139号富士〜富士宮」はまるで、空を浮遊しているような躍動感溢れる生き生きとしたタッチと構図で描かれています。雲から覗く、淡い青空もどこまでも続く目眩を起こしそうな青で色塗られ、地上との境界線を幻想的に表現しいています。曽宮一念の描く独特の雲は陰影のバランスのよさだけでなく、まるで手に取れるかのような奥行きと立体感で描かれており、どことなく幻想的な印象さえ与えてくれるのが大きな特徴ではないでしょうか。晩年期は静岡県の富士宮に住んでいたという曽宮一念ですが、常に富士山が見える場所を選び住み続け、そして愛する富士を描き続けていたというのも何とも彼らしい人生だったのではないでしょうか。随筆家としても知られる曽宮一念は1971年に両目を失明しており、画家活動を余儀なく打ち切らざる終えなくなりました。その後に文筆や短歌に書などの文化活動に勤しみます。曽宮一念の文筆家としての才能も目を見張るものがあり、海辺の溶岩では日本エッセイスト・クラブ賞を受賞するほどの腕前でした。山だけでなく、目に映る自然を独特の目線で描き続け、多彩な色使いと大胆な構図で表現し続けた曽宮一念は、作品同様、ダイナミズムに溢れながら心の優しい素晴らしい人物であったとも言われています。