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古書 高久隆古
芸術に囲まれて育った画家、骨董買取・高久隆古。高久隆古は、江戸時代後期の画家で、名門、川勝家の四男としてこの世に生を受けました。父であった川勝隆任は和歌、書画などを嗜み、高久隆古の兄弟達もそれに親しみ、優れていました。このような環境で育った高久隆古が画家を志したことは必然だったと言えるでしょう。士道にあまり身が入らなかった高久隆古は両親に勘当されるような形で江戸で渡り、南画家、依田竹谷の下に入門しました。その後、復古大和絵派の田中訥言の元へ教えを請いに行きましたが、田中訥言はすでに亡くなっていて、その門人であった浮田一蕙に復古大和絵派の技術を学びました。高久隆古は自身が会得した南画と大和絵の技術を融合させた新しい画風を作り上げたことでも有名です。高久隆古の作品に、「竜田山」というものがあります。この作品の名である「竜田山」は、実は現代には存在していません。竜田と名のつく神社や川は存在していますが、「竜田山」自体はすでに無くなってしまっているのです。高久隆古が描いた竜田山は、筆を幾度か滑らせただけで描かれているようにも見えます。明確な線は二本ほど描かれている桜か梅の花をつけた気のみで、山自体はまるで霞みがかっているように、ぼんやりとした輪郭で描かれています。高久隆古の「竜田山」は存在しない幻の山を描いた作品のようにも感じ、その独特の描き方から非常に幻想的な雰囲気を醸し出しています。まるで、高久隆古が竜田山が遠い未来に存在が無くなってしまったことを知っていたかのような、そんな不思議な印象を覚える作品です。独自の画風を確立し、絵師として成功した高久隆古は、48歳の頃、コレラという感染症に冒され、この世を去ってしまいました。しかし、彼が残した「竜田山」や多くの独特な絵画は、その幻想的な世界観を今の時代にも伝えています。高久隆古は、当時の風景を後世に残すような、延々と受け継がれ、人々に楽しまれる作品を目指して描いていたのかもしれません。