鵬雲斎の書を買取致しました!
~お茶の精神で世界平和を~ 鵬雲斎の一行書
「お茶」と「世界平和」。この二つの言葉はどのように繋がるのでしょう?
茶席では人間と人間の対等な立場しかありません。お互いが相手のことを理解し、お互いに「ありがとう」と言葉を交わし、人間同士の絆を強める・・・
この精神が世界平和に繋がると考え、国際交流を続けた茶道裏千家第15代家元の鵬雲斎(ほううんさい)の一行書について説明したいと思います。
鵬雲斎とは
茶道裏千家 第15代家元の鵬雲斎は、1923年に裏千家14代家元碩叟宗室の長男として産まれました。
1943年、20歳の時に学徒出陣により海軍に入営し、士官教育を受けた後、徳島にある海軍航空隊へ転属になりました。1945年には特別攻撃隊、いわゆる「特攻隊」に志願するも、終戦により除隊されます。
その後は同志社大学へ復学し、翌年卒業。その後はお茶の修行を積んでいきました。
鵬雲斎は国際的な視野で茶道文化の浸透と世界平和を願い、各国を歴訪しユネスコ親善大使などにも就任する、という異色の経歴を持ちます。
というのも、戦争の経験から世界平和に関心が強く、国際交流を続けている中でお茶の心は万国共通のものだと気づき、いち早く「おもてなし」の心が世界平和に通じると考え、私達が茶道に持つ上品で、どこか近寄り難いイメージを払拭し、自ら手を引いて茶道の世界へと導くのが使命だと悟ったからでした。
茶掛について
茶席の趣旨や雰囲気をがらりと変える掛物(掛軸)を「茶掛」と言います。
茶の湯で一番大事と呼ばれるくらいの道具が茶掛とも言われるくらいです。
本紙の内容として、一行書、消息(かなを主とする手紙)、画賛(山水画・禅画などの画中の余白に書き添えた詩や文章など)などがあり、それも禅僧・茶匠・数寄者・歌人・画家などが描いており、表装も茶席の床にふさわしいように工夫されています。
その中でもお茶の家元が書いた茶掛けは茶道では江戸の頃から珍重されており、今回ご紹介している鵬雲斎直筆の一行書は、高値で取引されています。
一行書とは
前述の茶掛けの中でも、一行書というのは、 一行に書いた条幅の書のことで、半切に一行書を書く場合は四文字から七文字位が普通です。
書かれている内容は、誰もがわかりやすく説いた明解な禅語で、人々のこころを捉える簡潔な文言が、少ない文字数で書かれてあります。
書かれる内容もさまざま種類がありますが、その中でも一番オーソドックスな文句が「日々是好日」です。意味は「毎日がよい日である」ということで、中国・唐時代の高僧が、誰も答えられなかった難しい問題(禅問答)に対して答えたセリフから取った言葉です。
またその書きぶりも気取るとことなく自由なものが多いことから、人々の共感を生んでいます。
その中でも特に京都にある大徳寺の僧侶の筆跡のものは「大徳寺もの」と呼ばれています。
さいごに
茶の湯の席での主役は、床の間に飾られる掛物です。文字だけで空間を引き締める力を持った一行書は愛好家の中でも非常に人気です。
世界的な視野を持った鵬雲斎の一行書、陶器など、あらゆる品にはニセモノも多く存在します。八光堂にはしっかりと査定できる鑑定士が揃っていますので是非、八光堂にご相談を!