多種多様な青磁の魅力
多種多様な青磁の魅力
青磁の色ってどんな色?と聞かれたら、人によって答えは様々だと思います。澄んだ空の様な色や、トルコ石のような青緑色、はたまたオリーブのようなくすんだ緑色など…挙げていくとキリがありません。
ひとくちに「青磁」と言ってもこれほどたくさんの色合いがあり、はるか昔から人に愛されてきました。
今回はそんな青磁についてお話ししたいと思います。
まず、青磁とは「青磁釉がかけられた陶磁器」のことを言います。
青磁釉とはもともと灰と土石を混ぜた釉薬で、現代では石灰と長石に1〜2%の酸化鉄を加えてつくられます。この釉薬を素地の粘土にかけて焼いていくわけですが、この際釉薬に含まれる鉄分の量と素地に含まれる鉄分の量、焼成の温度によって発色の色が変わってきます。高温で還元焼成すると淡い青色〜緑色に発色し、酸化焼成すると黄瀬戸のような黄色に発色するのです。青磁に多種多様な色がある理由が分かりましたね。
同じように青色や緑色に発色する釉薬で「緑釉」や「青釉」がありますが、緑釉は鉛釉をベースとした深みのある緑色、青釉はアルカリ釉をベースとして銅イオンで発色させた明るい空色の釉薬で、青磁釉とは全くの別物なのです。
これらのことを知っているだけでも青磁の一番の魅力である色味をより深く味わえるのではないでしょうか。
次に、青磁が歩んできた歴史についてお話ししたいと思います。
紀元前1500年頃、中国最古の灰釉が出現し、この灰釉がかけられた出土品を「原始青磁」と呼びます。しかしこれを青磁と位置づけるかは様々な見解があり、系統だった本格的な青磁の誕生は後漢〜宋時代(1〜12世紀)の越州窯からと言われています。呉〜東晋時代に発展した古越磁は枯葉色の釉と丸いフォルムの動物のモチーフが多く、唐代末からは秘色と呼ばれる最高級の青磁がつくられました。
その後、オリーブ色の釉が特徴の耀州窯、北宋宮廷の御用品を焼いた汝官窯、二重貫入の優品が多い南宋官窯、日本では砧青磁と呼ばれる淡い青緑色の青磁で有名な龍泉窯、青地に赤〜紫色の滲んだ彩色が特徴的な鈞窯、と多くの窯が誕生しました。
中でも有名なのは唐〜清(10〜19世紀)に浙江省南部でつくられた龍泉窯の青磁で、大きく3種類に分けることが出来ます。
まずは中国陶磁器の絶頂期である南宋〜元の初期(12〜13世紀)につくられた「砧青磁」。なめらかで明るい青緑色の良質な青磁で、花生や皿には魚や牡丹などのの文様が丁寧に彫られました。厚くかけられた釉薬がふっくらとした優しさを感じさせ、日本人の美的感覚ともマッチした青磁です。
次に元〜明の初期(13〜14世紀)焼かれた「天龍寺青磁」。14世紀に中国へ派遣された「天龍寺船」からその名がつき、この時代の支配階級であったモンゴル人好みの大ぶりな花瓶や酒会壷などが主流となりました。
そして明から清王朝初期(14〜17世紀)の「七官青磁」。釉薬に透明度があり、灰色がかった青緑色をしているのが特徴です。
一つの窯を取ってみても、長い歴史の中で試行錯誤しつくられ続けてきた青磁の多様性に驚かされますね。
青磁の魅力はなんと言ってもその多種多様な姿かたちです。その時の気分や年齢を重ねることによって好みの色合いや造形美は変わっていくものですが、青磁はこれだけ多くの種類があり、骨董市や百貨店など比較的見る機会が多い陶磁器ですので、きっと自分好みの青磁を見つけることが出来るでしょう。
さいごに
八光堂は定期的に勉強会を開き、長年に渡り鑑定力を磨いております。青磁と言っても日本のものもあれば、中国、韓国のものもご依頼頂きます。私達は、多種多様な商品を目にすることにより、お客様にご納得頂けるようなご説明もさせて頂きます。まずは気になる商品がございましたら八光堂のフリーダイヤルにおかけいただくか、写真をとって頂き、メール査定をご利用下さいませ。お客様のご依頼お待ち申し上げております。