唐津焼きの陶工 中里太郎衛門
中里太郎衛門について
寒気がいよいよ厳しくなってまいりましたが、皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。
博多の駅前も冬の装いになり、年の暮れを感じるようになりました。
年末はなにかと忙しない時期ではありますが、博多本店のある博多駅筑紫口では老舗ホテルの立替工事も着々と進んでおり、完成時にはまた新たな博多の顔として盛り上げていただけるかと楽しみにしています。
そして私は古美術八光堂の一員として、九州地方の秀逸な美術品を世に広げるべく日々精進して参ります!
さて、そんな九州地方は陶磁器の産地としては激戦区であり、各地に名だたる陶工がひしめいています。
中でも佐賀県は陶磁器発祥の地と呼ばれ優れた技法で人々を魅了しています。
また柿右衛門、今右衛門、太郎衛門は「佐賀の三衛門」と呼ばれ世界的に有名な窯元です。
今回はその一人「中里太郎衛門」に関して記事を書かせていただきます。
太郎衛門は江戸初期から現在に至るまで、十四代に渡って唐津焼の伝統を継承し、発展に尽力している家系です。
陶印は○を三つという非常にユニークなデザインで目にされた方も多いのではないでしょうか。
初代 又七が開窯し、李朝・明朝の流れを汲み献上唐津を製作したことから中里家は始まります。中里家の長い歴史の中でも12代は古唐津の復興と独自の技法で唐津焼きでは初の人間国宝に認定されました。
現在の唐津焼が世界的に有名であることは氏の功績と言っても過言ではありません。
また茶陶としても多くの茶人に愛されてきました。
「一楽・二萩・三唐津」という言葉からも多くの人々に愛された陶器だと分かります。
唐津焼はどことなく朴訥で控えめ、あくまで脇役に徹するかのような佇まいが魅力に思えます。一度手に取ってじっくり観察すると細やかな仕事、土味と釉薬の色合い、手触りなど新たな発見で溢れています。その奥ゆかしさから私自身もとても好きな焼き物です。
現在14代は伝統的な技法を踏襲しつつ、色鮮やかで先鋭的な作品も残しております。
唐津焼きの新たな魅力を後世に伝えてくださっていると思います。