江戸琳派・鈴木其一
鈴木其一について
現在全国の美術館で巡回展覧会が行なわれているのでご存知の方も多いかと思いますが、江戸琳派絵師の鈴木其一についてお話したいと思います。
・そもそも琳派ってなに?
琳派という言葉はご存知でしょうか?
日本絵画には「狩野派」「土佐派」「琳派」などそれぞれの流派があります。
狩野派・土佐派は一族や家元制なことに対して、琳派は私淑で断続的に繋がっているのが特徴です。
その代表的な人物が、俵屋宗達・尾形光琳・酒井抱一です。
宗達から光琳、光琳から抱一とそれぞれ100年ほどの開きありますが、直接の教えは請えなくても先人の作品を尊敬し、インスパイアされ独自のアレンジを加えていきました。
・琳派の継承
其一が俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一と同じ作品を手がけているのをご存知でしょうか?
私淑で繋がっているという証拠ともなるのが「風神雷神図屏風」です。
これは琳派の画風を修めた宣言、そして先人へのオマージュとして、この作品を手がけたと言われています。
それぞれの作品を見ると、ただそのままマネをするのではなく自分の技術・感性を表現しています。
其一の場合は屏風絵ではなく、襖絵なので背景は白で独特の作風があります。
空ににじみ出るような暗雲は、まだ絵の具の乾かないうちに墨を垂らす「たらしこみ」と言われる技法を使っています。
・琳派400年
琳派は上方琳派と江戸琳派に分けることができ、「琳派400年」の後半200年は江戸琳派のことを指します。
江戸琳派では鳥や虫を描きますが、上方琳派では描きません。
また大きな作品(屏風絵など)よりも小さい作品が多いのも特徴です。
この小さな作品は目の前で楽しむための作品、気心知れた人だけで楽しむものです。一方大きい作品は大勢で楽しむための作品、不特定多数の人々で楽しむものなのでインパクトがあります。
その江戸琳派200年、戦後まで続く礎をつくったのが酒井抱一と鈴木其一なのです。
・鈴木其一ってどんな人?
酒井抱一の一番弟子と知られていますが、正当な後継者ではありません。
雨華庵を継いだ酒井鶯蒲が正当後継者で、実質的な後継者が其一でした。
また其一は弟子の育成にも力を入れ、其一一派は琳派最大の勢力となりました。
其一は3つの時代があります。
◆抱一の門弟時代
1796年江戸中橋の染物職人の家に生まれた(諸説あり)其一は、1813年酒井抱一の内弟子になります。
この時期は草書落款を使用しています。
◆噲々(かいかい)其一
1828年酒井抱一死去後、一代絵師として活躍していきます。
噲々と書かれたかっちりした落款を使用し、とても鮮やかで明るい作品が多くなり大きな作品なども手がけるようになります。
◆菁々(せいせい)其一
1836年息子(守一)に家督を譲ったので、自由に創作、菁々の落款を使用。
また光琳や師匠の抱一を回帰した作品が増えてきます。
そんな其一ですが、858年のコレラ再流行により63歳という若さで急死してしまいました。
さいごに
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