加藤孝造と瀬戸黒
加藤孝造について
こんにちは、八光堂名古屋本店の鑑定士の大橋です。
以前ご紹介させていただいた人間国宝の加藤卓男に続き、今回も同じく人間国宝の加藤孝造についてご紹介したいと思います。
ところで・・・なぜか加藤と言う苗字が多いこの東海地方。
なんと岐阜県では最多の姓で、愛知県で2番目に多い姓らしいです。
特に岐阜県美濃地方~愛知県尾張地方にかけて非常に集中して、愛知県瀬戸市の人口9%ほど(約3000世帯)の加藤さんが存在しているという情報も!
他にも陶磁器界では有名な加藤さんが・・・加藤唐九郎、加藤重高、加藤嶺男(岡部嶺男)・・・などなど、多くの加藤さんが活躍しています。
話が脱線しましたが・・・。
加藤孝造は、加藤卓男と同じく岐阜県の出身です。
作品は五代 加藤幸兵衛、人間国宝だった荒川豊蔵氏の出会いにより大きな影響を受け、手回し轆轤(ろくろ)や薪をくべる穴窯による作陶で美濃桃山陶の伝統を守り、現代に続いています。
孝造の作品の中でも特に人気のある「瀬戸黒」についてですが、瀬戸黒は志野・織部・黄瀬戸とともに桃山時代に美濃で焼かれた茶陶による制作技法で、窯中での場所が限定されるという制約などがあるなか、小さな引き出し口から茶碗を裸のまま取り出す工程(引き出しの技法)による総黒の焼きものです。またその引き出す際についたはさみ跡を“景色”として楽しむといった個性的な一面もあります。
この瀬戸黒は、土を窯に入れて焼き、釉薬がちょうど溶けた頃合いを見計らって高温の窯の中から引き出し、冷水で急冷することで輝きと深みのある漆黒が演出されます。この急激に冷すことで生じる技法は「引き出し黒」と呼ばれ、絶妙な釉調で人々を魅了しているのです。
孝造は、志野や黄瀬戸においても素敵な作品ばかりですが、特にこの瀬戸黒は別格です。
その「瀬戸黒」で孝造は2010年に重要無形文化財(人間国宝)に認定されたのでした。
さいごに