利茶土ミルグリム~ニューヨークから日本へ~
利茶土ミルグリム(リチャード・ミルグリム)について
最近では日本人よりも日本が大好きで、様々な日本の文化を楽しんでいらっしゃったり、中には日本を愛して日本に移住される外国の方が多くいらっしゃいますよね。
各メディアでも取り上げられており、みなさんの日本愛には驚かされることも多いです。
今回は日本を愛した陶芸家の一人でもある利茶土ミルグリムを紹介いたします。
利茶土ミルグリムってどんな人?
利茶土ミルグリム(リチャード・ミルグリム)は、アメリカのニューヨーク出身の陶芸家です。
ミルグリムが陶芸に関心を持ったのは大学に通っていた1974年頃のことです。陶芸の基礎クラスで学んでいましたが、このときはまだ日本の陶器については知らなかったようです。
より深く陶芸について学ぶために個人指導を受けることを決めて、マサチューセッツ州立大学からオハイオ州のアンティオーク大学へと移ります。
日本に住んでいるとイマイチ分かりづらい距離感での転校ですが、距離にすると約1,300kmも離れた大学に移ったんです。東京からだと、大体ですが、一般的に行ける日本最北端である北海道の宗谷岬くらいの距離ですね。陶芸の為にそんなに離れた学校に行くあたりにも、ミルグリムの陶芸への愛が感じられます。
そんなに離れた場所で、ミルグリムは多くの人から陶器について聞き、そこで初めて日本の陶器の存在を知ることになります。このことにより、彼の人生は大きく変わるわけですね。
そして日本へ!
日本の陶器に感銘を受けたミルグリムは、大学在学中に初来日を果たします。このときは約1年間滞在し、日本の文化や陶芸について研究したそうです。
当時は京都に住んでいたこともあり、様々な寺院や神社、歴史ある建造物や街並みなどに触れて感性を磨いたようです。
また、研究熱心だったミルグリムは、全国の各都道府県を回り、各地の窯を訪れたそうです。すごいですよね。日本人でも全ての都道府県を回ったことのある方は、そう多くないと思います。このときは沖縄には立ち寄れなかったそうですが、それでもすごいです。
アメリカに戻って無事に大学を卒業すると、1979年に再来日。
茶道留学生の集まる「みどり会」に入ると、京都の陶芸作家である岩渕重哉に陶芸を学びます。
その後も萩、備前、美濃にて名のある作家たちに教えを乞い、自身の陶芸スタイルを築いていきます。
そして、1985年ついに京都府日吉町にて築窯します。このとき、裏千家の御家元よりファーストネームのリチャードの読みに漢字を当てて、「利茶土窯」と命名され、現在は世界各地で展覧会を催しています。
利茶土ミルグリムの作品は、アメリカ生まれでありながら日本の陶器の伝統や文化を重んじ、さらに新たなオリジナリティを追い求めています。
アメリカにも窯を持っており、マサチューセッツ州のコンコードに窯を開いたことから「今古窯」と漢字を当てているそうです。こちらの窯で作られた作品は各土地でそれぞれの素材を使い、作風や作品の持つ雰囲気も違うものになっています。
これからも日本の伝統文化や芸術を、アメリカだけに留まらず世界中に陶器の良さを広めていってほしいですね。
さいごに