美術様式の変遷
アール・ヌーヴォーとは
アール・ヌーヴォーとは、ある一つの概念のようなもので19世紀末~20世紀初めにかけて広がった国際的な美術運動です。狭義の意味では、フランスの装飾美術を指す場合もあるそうです。
新しい芸術を模索していく中で、従来の草花や有機的な曲線の様式に囚われず、当時新素材であった鉄やガラスを用いて装飾を施したのが始まりでした。その芸術の波は工芸品のみならず、建築やグラフィックデザインなど多岐に渡り浸透したのでした。
アール・ヌーヴォーからアール・デコへの遷移
アール・ヌーヴォーで有名なところで言えばナンシー派でしょうか。
フランス東部の町・ナンシーで活動した工芸家たちを指し、ドームやエミール・ガレなどが特に有名です。草花や鳥・虫などをモチーフにして、植物文様を使った自然な表現が特色でした。日本のジャポニズムの潮流も取り入れた作風は一斉を風靡しました。
アール・ヌーヴォー様式が注目されるようになったきっかけは、エミール・ガレがパリ万国博覧会へ出品した作品の数々が受賞し、それらが世界的に認められ新たな技術・様式は一般へ広まり、さらにはそれが一般的な価値観となっていったのでしょう。
ただ人気となる一方、高度な技術とコストは次第に工房を圧迫し、低コストで創作できる直線的で幾何学模様のアール・デコ様式へと移り変わっていきます。
アール・デコとは
富裕層向けの一点ものを創作していたアール・ヌーヴォーは次第に衰退していき、それに変わって近代化が進む当時の情勢を組んだアール・デコが台頭してきます。大量生産とデザインの画一化を図り、一般的な家庭にも浸透していく事になりますが、流行が過ぎると悪趣味な装飾と捉えられてしまい、その当時美術史では全く評価されることはありませんでした。
今も昔も美術様式は移り変わりが激しく、当時の工芸家・デザイナーたちも苦労していたことでしょう。
さいごに