300年にわたる伝統工芸・鼈甲
鼈甲(べっこう)について
透明感のある飴色と茶褐色のコントラストが美しい鼈甲。
日本では鼈甲製の高級メガネやかんざし、ペンダントなどの装飾品が主に流通しています。実は鼈甲はウミガメの一種であるタイマイの甲羅が原料となっています。
現在このタイマイは絶滅危惧種であり、ワシントン条約による規制対象になっています。今は規制前に日本に入ってきていた鼈甲を使って新しい鼈甲細工を制作している状態です。
残り少ない資源で作られている、美しく貴重な鼈甲の魅力を今こそ知ってみませんか?
鼈甲細工の歴史
鼈甲細工は古代中国の漢時代にはすでに始まっており、奈良時代の日本にも“鼈甲製品”は入ってきていました。日本で現存する最古の鼈甲製品は正倉院宝物として収蔵され、大切に保存されています。
今でも高価な鼈甲製品ですが、当時は皇族や貴族などの限られた天上人しか手にすることは出来ませんでした。なによりこの時はまだ鼈甲の既製品が日本に渡ってくるのみで、原料の甲羅自体の輸入はなく加工技術が日本で発達することもありませんでした。
日本に鼈甲職人が現れ、鼈甲製品が庶民にも広まるのは江戸時代に入ってからになります。特に鼈甲細工が栄えたのは貿易港「出島」を擁する長崎です。
徳川幕府の鎖国政策によりオランダ・中国と貿易ができる港は長崎港のみと定められました。そのため南蛮貿易を通じて日本の中で長崎がいち早く原料を調達でき、またヨーロッパから鼈甲加工技術を得ることもできました。ちょうど日本髪の発展時期とも重なり、女性の髪飾りとして櫛やかんざしが数多く作られるようになります。
当時の浮世絵にも鼈甲のかんざしや櫛で着飾った女性の姿を見ることができます。
長崎で発達した鼈甲細工の技術はやがて全国に広まり、髪飾り以外にもメガネや帯留め、置物など平和な時代だったこともあり意匠を凝らした素晴らしい作品が各地で作られました。
鼈甲の現状
日本国内での需要はもちろん、明治期に自由な海外貿易が可能になると国外への輸出もいっきに増加します。特にロシアからの人気が高かったようですね。
外国人向けの製品として煙草入れや舟の模型などが製作され、鼈甲細工は日本を代表する一大産業へ発展しました。
国内でも鼈甲が規制されるまで、特にバブル期は需要が高く職人さんも大勢いました。
ワシントン条約規制後の現在では国内在庫分を使い鼈甲細工が作られていますが業界自体が先細りに陥っており、後継者問題に悩む工房も多くなっています。
タイマイの絶滅を防ぐため、そして300年の伝統を誇る鼈甲細工を守るため、日本でタイマイの養殖研究も始まっていますが成果が出るにはまだ時間がかかるそうです。
日本人にとって馴染み深く、長年愛されてきた鼈甲。
ぜひ次の世代にも受け継いでいってほしいものです。
さいごに
一時は日本国内でも飛ぶように売れていた鼈甲製品。鼈甲のメガネや髪飾り・置物などをお持ちのご家庭も多いのではないでしょうか。
代々受け継いできた品であったり故人の思い出の品であったり、もう必要はないけれど捨てるのは悪い気がするし・・・。
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