杉原元人~激動と静寂~
杉原元人について
八光堂名古屋本店の大橋です。
突然ですが、わたしは自然が好きです。
特に山と海が大好きです。
今回はそんな「山」と「海」を壮大に描き続けた日本画家である「杉原元人(すぎはらげんじん)」についてお話しいたします。
杉原元人の来歴
1912年(明治45年/大正元年)に三重県鳥羽市本浦に生まれます。
子供の頃に父親の都合で北海道に移住し、そこで競走馬の牧場を始めたとのことです。
北海道の大自然で育った杉原は、そのころから紙に表現する感受性を培ったのでしょう。
その後、関東大震災のあった1923年(大正12年)直後に教育や生活のこともあり関東に移住しました。
関東に移り住んだ杉原は川端画学校を卒業後、川合玉堂の高弟である日本画家の児玉希望に師事することとなります。
ここで子供の頃に大自然で培った感覚を駆使し、近代的で力強く壮大な表現で人物や山水、花鳥をひたすら描きました。
1946年(昭和21年)日展に初入選し、その後も文部大臣賞、菊華賞、勲四等瑞宝章、紺綬褒章・・・など数々の賞や勲章を受け、日本画壇を代表する作家のひとりとなりました。
50歳になった1962年(昭和37年)には千葉県にある流山市に移住し、2009年(平成21年)97歳の生涯を閉じるまで、情熱的に制作活動を続けました。
杉原元人の作風
わたしが初めて拝見した杉原元人の作品は、日本画専用の紙にプラチナ、顔料をふんだんに使って描いた「海」の絵画でした。
その作品は千葉県の外房を描いた作品です。
雄々しく迫り来る「荒波」は今にも飛び出してきそうな迫力でした。
わたしは休日になると海にサーフィンをしに行きます。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、千葉県の外房はサーフィンで有名なスポットがたくさんあり、何度も足を運びました。毎回行くたびに波のパワーに驚かされます。
重厚で大胆なタッチの杉原元人の作品を拝見した時にも似たような海の力を感じました。
海を題材にした作品を一言で表すなら「激動」です。
大正池と杉原元人
その一方で「山」を題材にした作品は「静寂」を感じます。
杉原元人の作品でよく目にするのは、長野県松本市の「大正池」を描いた作品です。
穂高連峰をバックに描かれる大正池は、静かな力強さを感じさせてくれます。
筆のタッチはその場に漂う空気までも描ききり、まさに「静寂」です。
みなさまも「杉原元人」の作品に出会うことがありましたら、「激動」と「静寂」を感じてみてください。
さいごに