備前長船祐定(短刀)~ 一振りの刀に込められた幾多の想い ~
備前長船の刀工 祐定
祐定(すけさだ)は、備前の長船派の名工です。
しかしその名を持つ者は1名ではなく、応永(室町時代1394年~1428年)から約30名の祐定がおりました。備前国長船鍛冶の一大ブランドだったのです。
祐定作の中でも有名なのは、「彦兵衛祐定」「与三左衛門尉祐定」「次郎九郎祐定」「源兵衛祐定」など。
「与三左衛門尉祐定」は第一級の刀匠ですが、銘の切り方から馬与、一与、点与、角与があり、4人別ではないかという説もあります。
祐定は、刀工集団の長で、弟子たちの手による「工房作品」として盛んに大量生産品の祐定が作られていました。
刀は消耗品でしたが、それでもかなりの数が残っているので、現存する末古刀、備前国住長船祐定は殆ど応永の物です。
短刀とは
短刀は、16cm~30cm以下の刀で、鎧の腰に備えるだけでなく懐にも隠し持てるほどの長さの武器です。
常に自らの身近に備え、最後の時まで手放さない武器であり、あるいは自らを決する際にも用いることから、武士は特別に愛着を感じ、また、切れ味に優れたものを用いたいと願ったそうです。
武士にとっては一心同体といっても過言ではなかったようですね。
そのため、飲みの席などに備える短刀であっても、優れたデザインと金具が用いられ美しい仕立てとし、オシャレさを求めていたそうです。
もちろん、刀身も名品を備えとした例が多く、戦国武将や江戸時代の多くは、鎌倉時代の著名刀工の短刀を腰に帯びることを誇りとしていました。
現代では、小振りであることから飾る場所も限られることもなく、コレクターにとっては楽しみの多い拵えでもあります。
さいごに