金工師 ~正阿弥勝義・海野勝眠・加納夏雄~
京都の名工、加納夏雄
まずは幕末から明治にかけて活躍した京都出身の金工師、加納夏雄です。刀剣屋の養子として育った彼は幼い頃から刀剣、刀装具(鍔や柄)に親しみ、19歳の頃には独立し金工師として成長していきます。円山派の中島来章に絵を学んだこともあり、人物・花鳥の写実を得意としていました。
また、その絵を元に非常に精巧な細工を施した作品を多くの残しました。以下に紹介する正阿弥勝義と同様に明治初期までは刀装具の制作をしていたことでも知られています。作品の特徴としては片切彫という技法を得意とし、多種の金属を使い色彩豊かなものを多くつくりました。
金工彫の名工、正阿弥勝義
続いて紹介するのは近代彫金において最も高く評価された人の一人、正阿弥勝義です。幼くして父親から彫金を学び、金工の名家である後藤家からその技を学びました。正阿弥勝義といえば刀装具というイメージがありますが、廃刀令により刀装具の仕事が激減したため、その技術を生かし美術工芸品(主に香炉や花瓶など)を制作していくようになります。
金工の全盛期といわれる明治期においても頭一つ抜け出ていたといわれる名工中の名工です。彼の故郷ともいえる岡山の県立博物館や東京国立博物館でも作品を見ることができます。写実力・色彩表現・質感表現、どこを取っても超一流です。
水戸の名工、海野勝眠
そして最後に紹介するのは水戸の名工、同じく近代に活躍した金工師、海野勝眠です。10歳に満たない頃から父親に彫金を学び、上記に紹介した加納夏雄にも師事し、師匠と同様に写実的な表現を身に着けていきました。海野勝眠の勝眠という名前も一説によると江戸時代の名工・横谷宗珉から取っているともいわれています。主に明治期~大正期にかけて活躍した名工です。
さいごに