【連載記事】着物~その1:種類と格~
着物には種類や格がある
普段着物を着る機会がないとあまり考えることがないと思いますが、一言に“着物”と言っても様々な種類があり、みなさんが着たり、見たりする機会が最も多いのは礼装着(第一礼装)ではないでしょうか。黒留袖や本振袖、打掛、喪服がこれに当たります。そして、この礼装着が最も格が高い着物です。その下に略礼装着(準礼装着)がきます。色留袖、訪問着、振袖などがこれです。外出着というのがその下になり、種類が小紋や紬の訪問着、絞り、更紗などです。最も格が低いのが普段着や浴衣で、紬や木綿、ウールなどがあります。基本的にはその場面にあった“格”の着物を着ます。
しかし、最近ではいわゆる“晴れ着”を着る場面でも、格を気にせずに自分の着たいものを着るという方も増えているそうです。卒業式のシーズンは矢絣の着物(“はいからさん”の着物ですね)をよく見ますが、こちらの矢絣も普段着に分類されるものです。ですが、個人的にはそれもいいのではないかとも思います。
きちんとした形で文化を継承していくべきという考えも当然ですが、どんな形であれ文化に触れる機会を持ってくれることが嬉しいです。
礼装着を着る場面
それでは、第一礼装のそれぞれの着物をどんな場面で着るのかを簡単にご紹介致します。
打掛(うちかけ)は白無垢などの結婚式で花嫁が着る衣装です。黒留袖は既婚女性の第一礼装で、新郎新婦の母親や親族が着ます。よく結婚したときに仕立ててもらったりしますが、みなさんが悩まれるのが年齢を重ねたり、時代が変わってしまってふさわしい柄ではないのではないか?ということです。確かにこの考えは間違っていませんが、20~30年前の着物でも古さを感じさせない柄のものも多いですし、余程ご自身で気にされる場合は別ですが、せっかく仕立ててもらった着物ですから、私は着るべき場面があれば大事に着ていただく方がいいと思います。
本振袖は未婚女性の第一礼装で、きれいで美しい絵羽模様と長い袖が特徴的な着物です。振袖の中でも袖が長い方が格式高く、大体114~124cmくらいの袖を本振袖といい、花嫁衣裳や成人式などで着用されます。喪服については葬儀で着るもので、冠婚葬祭に合わせた格式の着物があります。
さいごに
着付けも大変ですし、手入れにも手間がかかる着物ですが、華やかで着物にしかない良さがたくさんあります。
いろいろ知っていくことで着てみたくなってもらえると嬉しいです。
また着物についてご紹介できる機会があると思いますので、楽しみにしていてくださいね。
もちろん八光堂では、査定の依頼もお待ちしております。