【博多店:新作工芸買取】黒木国昭 花器
ガラスの歴史
黒木国昭は宮崎県出身の作家で、九州ではご存知の方も多いと思われますが、現代の名工として今尚多くのガラス作品を手がけています。
まず黒木国昭のお話をする前に、ガラスの歴史について少しお話したいと思います。
身近な素材として今も多く利用されているガラス――。
その歴史は古く、古代エジプトやメソポタミア、ローマなどでも使用されていました。また利用されてきた地域も幅広く、世界中で昔から使用されてきた素材なのです。
日本には弥生時代に中国から伝わったとされています。当時は装飾品などで使われていて、エジプトなどと同様に貴重な宝石として扱われていました。
その他にも仏教が伝来して以降、仏教にまつわるガラス品も製造されていきましたが、平安時代鎌倉時代頃から一度衰退していきます。その後、南蛮人などによって長崎などからガラスが再び日本に広まっていったのです。
九州では幕末から始まった薩摩切子、長崎のビードロなどが身近なガラス工芸として挙げられるのではないでしょうか。黒木国昭も綾切子、薩摩切子の作品を多く残しています。
日本の美を表現・琳派シリーズ
黒木国昭は日本の伝統的な技術と作風、西洋の技術を混在した美しい作品が魅力ではないでしょうか。
その代表的な作品として「琳派」のシリーズがあります。
ドームやガレにも見られる西洋のガラス技法を駆使しながら日本の伝統を表現していくといった試みで、シリーズの名前となっている琳派のデザインと構図、豊かな装飾性をガラスで表現しています。
琳派という画派は、主に私淑という形態をとっています。つまり、師から直接技法を学ぶのではなく、過去の作品から技法を模範し、受け継がれてきました。黒木国昭は日本画とはカテゴリは異なりますが、新たな琳派といえるのかもしれません。
黒木国昭は琳派の華やかな色使いを、西洋のガラス技法により新たにガラス作品として生まれ変わらせているのです。
海外に影響を与えた琳派をその西洋の技術により生み出していく――。
黒木国昭の作品は、日本で生まれ、世界に影響を与えた伝統を受け継ぎ、今も尚新たな作品を世に生み出しているのです。
さいごに