【コラム】茶道具・皆具についてのいろいろ
皆具とは
皆具とは、装束・武具・馬具などの具一式が揃っている状態を指します。
また、茶道での皆具といえば、「水指」「杓立」「建水」「蓋置」の4点が揃ったもので、台子や長板に飾る為に用いられます。
皆具は臨済宗の僧である南浦紹明(なんぽしょうみょう)が宋から戻って来た際に伝えられ、日本では千利休が持っていた「唐銅皆具」が有名です。その頃は銅で作られているものが主流でした。
今のような「陶器皆具」が登場したのは江戸末期幕末の頃ですが、その当時はまだ馴染みもなく、あまり人々に受け入れられませんでした。
広く出回り始めたのは明治以降になってからのことで、各流儀の家元の「好み物」が作られるようになった際に、裏千家十一世玄々斎が広めた「立礼式(りゅうれいしき)」では「陶器皆具」を原則としていた為、近世の茶の湯には欠かせない物となりました。
「立礼式」とは、玄々斎が茶の湯の近代化を図るために確立した新たな茶の湯文化の一つです。それは今までの茶の湯とは大きく異なり、机と椅子を用いて茶を点てるもので、椅子点前と言われています。
明治4年に京都で開催された第1回京都博覧会の際に、玄々斎が外国人客が腰を掛けて茶を飲むことができるよう考えられたのが始まりとされています。
皆具の種類
皆具は多種多様の様式で作られ、様々なシーンに使い分けることが出来ます。
特に皆さんもよく目にするのは染付が施されたものだと思います。染付だと控え目ながらも上品な華やかさがあるため、茶の湯の席には最適かと思います。
また、次に多いのが青磁で作られているものです。青磁もまた独特の透き通るような色合いが印象的で、人気の高いもののひとつかと思われます。
その他には金襴手写、赤絵写、仁清写等もあります。これらは華やかさがあり、茶の湯の席がパッと明るくなる事間違いなしです!
しかし、皆具の中には茶の湯の様式に反している、選んではいけないものがあります。それは萩焼、唐津焼等の日本独自で発展した焼物です。
なぜなら最初にご説明したように皆具は中国の宋から伝わったものであるため、中国で発展した様式を取り入れるのが基本であるためです。
さいごに