【コラム】翡翠・勾玉のお話
翡翠は古代よりその色味と輝きから、主に中国などで貴重な品物として重宝されてきました。
時には王家の権力の象徴として、時には祭事用の呪物として。
古代日本においてもその風習は存在しており、大陸文化の影響が見て取れます。
そもそも、なぜ勾玉(まがたま)はあのような形をしているのでしょうか。
現在でもまだ決定的な説は出ておらず、動物の牙の形や胎児の形、耳の形等様々な説で議論がなされています。(個人的には胎児説を推したいところです。)
そういえば、日本では「タマ」という言葉がとても多く用いられており、「言霊(コトダマ)」や「玉(タマ)」のような赤ちゃん、「御霊(ミタマ)」など、とにかく“タマ”という言葉を使うのが好きな民族だということが伺えます。
では、日本人にとって「タマ」とは一体何なのでしょうか。
“ タマ ” における推察
歴史を紐解くと、どうもタマという言葉は古代日本において宗教的、呪術的に有力な人物を尊称する際に使われた言葉との事です。
また、玉は存在そのものよりもそれにまとわりついている霊的な観念のことを指すようで、
その観念を操ることができる人物につけられたそうです。
現在も国玉神社など、神社の名前についているあたりその名残が伺えます。
では、勾玉はどうでしょうか。
今でこそ漢字で「勾玉」と書きますが、“ 曲玉 ”とも表記し、つまり曲がった玉との言い方が現在では有力だそうです。
さて、その曲がった玉とは一体何なのでしょうか。
勾玉における推察
古代日本において、医学は発展途上でした。
そのため、出産は死と隣り合わせのとても過酷なものであり、古くから安産祈願のための祈祷も行われるなどかなり儀式的な側面を包括していますが、当時としてはおそらく死産や流産が少なくなかったのではないでしょうか。
そのため、不幸にも生まれることが出来なかった胎児の姿を、形を模して、せめて形だけでも魂が残るように…。
そうしてできたものがマガタマであり、古代の人々はその勾玉に思いを込めて作成し、霊的な観念を宿していたのかもしれません。
そのため、祭事的、呪術的にも使用されている翡翠の勾玉が存在しているのかもしれません。
さいごに