【コラム】ガレの美しさを支える技法のいろいろ
ガラス工芸の技法
この時期に活躍したガレやドームは、今なお世界中の人々から愛されていますよね。
そんなガレやドームに代表されるガラス作品の数々ですが、これらの作品にはさまざまな技法が用いられています。
その代表的な技法について、その中のいくつかをご紹介いたします。
被せ(きせ)ガラス
ガラス素地の上に違う色のガラスを被せ、被せたガラス部分に酸化腐蝕彫りなどでモチーフを施す技法です。色調が重層的となり、深みの増した表現が可能となります。
酸化腐蝕彫り
文様部分を保護膜で覆ったあとに文様を描き、それをフッ化水素と硫酸の混合液で腐蝕させて文様を作っています。
異色溶かし込み
ガラス素地の中に別の色を溶かし込み、模様を作りあげる技法です。マーブル模様や班模様などをガラスとガラスの間に挟むことで、色合い豊かな表現が可能となります。
エナメル彩
融点の低い色ガラスの粉末と油脂でガラス絵の具を作ってモチーフを描き、低温の窯で焼き付ける技法です。エナメル彩の中でも細かな技法があり、種類も多くあります。
他にもまだまだいっぱい技法はありますが、4つの技法を簡単にご紹介いたしました。
こういった技法を知った上で作品を見ると、見方も変わって今までとは別の楽しみ方ができるかもしれません。
近年は技術も発達し、比較的簡単に作れるようになっている技法もありますが、当時の技術でこれらを制作することは超絶技巧に値する技術力でした。
デザイン性と技術力の融合によって、見る人々の心を揺さぶる作品が生まれたのだと思います。
美術品の流通相場の観点
作品によって使われている技法が1つ~2つで作られている作品もあれば、もっと複数の技法を同時に使用している作品もあり、美術品の流通相場の観点からすると、技法が多ければ多いほど、手間のかかる工程が多ければ多いほど作品が高値で取引きされる傾向にあります。
また、このジャンルは高額であるが故に贋物が多いのも事実です。そして厄介なことにガレやドームなどはサイン(マーク)が多種多様にあるため、真贋判断がより求められるジャンルでもあります。
ですので、しっかりと真贋判断・査定のできるところでお買上げまたはご売却することをおすすめします。
さいごに