【京都店:絵画買取】小谷津雅美 彩色
家族愛が築いたもの
名前だけ聞くと女性かと思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、男性の日本画家です。
1933年(昭和8年)に東京都で生まれた小谷津は、父も日本画家で有名な小谷津任牛(こやつ にんぎゅう)だったためか画家への道のりは約束されていたのかもしれません。
母の病気の看病のために高校を中退し、父の仕事を手伝いながら絵画の勉強を始めていきました。プロの日本画家だった父の一番近くでその作品を見て青春時代を過ごしたのです。
母と父を支え、自らもしっかりと勉強を重ね、若くして既に優しさと真っ直ぐさを十分すぎるほど持ち合わせていました。
そうして磨かれていったその力は、「家族愛」が築き上げたものなのかもしれません。
より大きな世界へ
1955年、彼に転機が訪れます。
日本画家・安田靫彦(やすだ ゆきひこ)と出会い、彼の下へ弟子入りした事により、より広い絵画の世界を知っていくことになりました。
作品を次々と院展等へ出展し続け、1960年には作品が奨励賞を受賞。これにより一皮むけた小谷津は何度も奨励賞を受賞し続けます。
そして、この頃から自身の作風に変化を出していきます。
鮮やかな色使いが小谷津の代名詞ですが、絵具を重ねて塗り込むことによって、より立体的で鮮やかさを増した技法を特徴とし、数多くの作品を生み出しました。
風景画も有名ですが、花をテーマに描いた作品のリアリティには誰もが驚くことでしょう。
赤や緑、白や黄色などを上手に丁寧に使って描かれた作品たちは、本当に美しいものです。
父・小谷津任牛から受け継いだ才能と基盤、そして自身で磨き上げていった技術を応用し、「自分の世界」を見事に築き上げました。
余談ですが、父・小谷津任牛と子・小谷津雅美の作品には、タッチの違いこそあれど、「鮮やかな色使い」がとても似通っているように思えます。
さいごに
小谷津雅美の作品には、「家族の絆」と絵画とは思えないくらいの「リアリティ」がある、ということが伝わりましたでしょうか。
2011年、残念ながら彼はこの世界から旅立ってしましましたが、今もまだ彼の描いた作品たちは鮮やかさを放っています。
古美術八光堂では、そんな愛溢れる小谷津雅美の作品をお買取りさせていただいております。
素晴らしい作品がこの世界から消えてしまわないように、しっかりと次のお客様へと橋渡しさせていただきます。