【京都店:西洋美術買取】リモージュ 花瓶
リモージュ磁器の誕生
17世紀のヨーロッパの製陶技術では、くすんだ色で厚みのある陶磁器しか焼くことができず、東洋から伝来した白く美しい白磁は憧れの芸術品でした。その価値は非常に高く、王族や貴族らの間では東洋の白磁を所有していることがステータスでした。やがて各国が競うように自国で製品開発をし、フランスでも現代まで愛される陶磁器が数多く誕生しました。
ヨーロッパで有名な陶磁器の一つといえばドイツのマイセンがありますが、マイセンを含め、白磁の製作に欠かせない材料にカオリンがあります。ドイツのマイセン近郊では18世紀初頭にカオリンの地層が発見されていましたが、他のヨーロッパ諸国ではカオリンの地層が発見されておらず、当時白磁の製作はドイツの独壇場でした。
しかし、1768年ついにフランスでもカオリンが発見されます。カオリンが発見されたとき、それは少し意外なものに使用されていました。洗濯の際に洗剤として使っていた白い粘土。それこそまさしく探し求めていたカオリンだったのです。そして、フランスでカオリンが最初に発見されたのがリモージュでした。
リモージュはパリから約400km離れたところにあり、自然豊かで古くから金属工芸のひとつであるエマイユ(七宝焼)や陶磁器の街として名を馳せていました。リモージュはひとつの製陶所で作られた作品を指すのではなく、製陶所はいくつもあり、リモージュの地で作られた陶磁器を総称して「リモージュ磁器」又は「リモージュ焼き」と呼ばれています。
リモージュは透明感のあるきめ細やかな白磁に優雅な絵付けが施されているのが特徴です。 フランスでは「食文化も芸術となる」という価値観が根強く、パリの高級レストランでは現在もなおリモージュ磁器が多く使用されています。
至高の芸術品 リモージュボックス
「リモージュボックス」とは、リモージュで作られた磁器製の小物入れのことで、可愛らしく遊び心溢れる多様なデザインが魅力です。
かつてヨーロッパ貴族の間で流行し、貴族たちはオリジナルのリモージュボックスを作らせ自慢しあっていました。当時の煌びやかな貴族の社交界でもリモージュボックスは「映える」アイテムだったようで、ポンパドール侯爵夫人はその日のファッションに合わせ毎日違うリモージュボックスを持ち歩いていたそうです。また、マリーアントワネットは婚礼の際、50個以上の豪華なリモージュボックスを持参したといわれています。
今もリモージュボックスは子どもの乳歯やジュエリーなど、大切な想い出をしまっておく小物入れとして広く人々に愛されています。各国の大統領や王侯貴族、著名人などセレブにリモージュボックスのコレクターが多く、レーガン元大統領のナンシー夫人やヒラリー・クリントン氏もコレクターとして有名です。ホワイトハウスでは大統領就任の際にリモージュボックスを美術コレクションに追加するのが慣わしだそうです。
さいごに