【横浜店:陶器買取】中里重利 茶碗
中里重利の持ち味
中里重利は十二代中里太郎衛門である中里無庵の三男として生を受けました。
その得意とされる持ち味は「計算」にあります。
氏が作陶された作品の多くは古唐津の技法、美を追求し、独自の視点にまで高めきったものがほとんどです。
古唐津らしい絵付けをされた皿や三島手の鉢、落ち着いていて、見続けても飽きない斑唐津など、流石と言う言葉がおこがましい程の味わいある作品を作陶されています。
また、それだけでは無く「繭」と名付けられた陶器は現代アートと評されても過言ではない程個性と精緻に富んだ作品です。
中でもやはり目を見張るのは「三玄壷」と呼ばれる作品で、古唐津の技法である「叩き」を使用しながら、焼いた際の熱で生まれる色の変わり映えが文字通り上手く合わさっています。
「三玄とは、『天・地・人』をもじり、『土・技・人』の三位一体を表している。」とは本人の言葉です。
この作品により、氏は十二代の窯から独立し、自身の窯元である三玄窯を立ち上げました。
※氏本人は、「自分の名前の窯を開いても売れないから色々考えた(笑)」と茶目っ気たっぷりなコメントを残されています。
これらの作品は、上述した通り全て緻密な計算のもと制作されており、一切の遊びは有りません。また、計算が全てでは無く、その先にあるバランス、整い方が重要であると仰っています。
その絶妙なバランスの中で、氏が最も重要とされている美意識を練り上げて行き、現在後世にまで残る作品が数多く存在しています。
さいごに
兄である十三代中里太郎衛門氏の作風は自由闊達で、土が生きるままに作陶する事でした。
弟である中里重利氏はその反対で、緻密な計算とバランスの先にある美を表現されていきました。
両氏とも後世に残る歴史に名を刻まれる作品を沢山製作されていますので、お二人の作品を見比べながら楽しむのも乙な物があります。
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