【大阪本店:西洋美術買取】ウェッジウッド テーブルウェアセット
ウェッジウッドの歴史と魅力
ウェッジウッドの創立者、ジョサイア・ウェッジウッドは、1730年、イギリスの陶工職人の家に産まれました。子供の頃に病気を患い片足が不自由になりつつも、彼は陶芸家として、そして実業家として、陶芸の道を進むことになります。
さて、唐突ですがウェッジウッドの特徴と言えばなんでしょうか。
人によって答えは様々でしょうが、特徴の一つとして「比較的安価でテーブルウェアが揃う」ということが挙げられます。生活の中に取り入れられやすいのです。
しかし、それでいてウェッジウッドの商品は、女王から名称使用を認められた「クィーンズウェア」等をはじめ、質が良く、品の良い絵付けや柄ばかりです。
ウェッジウッドは如何にしてこのような立ち位置を確立させていったのでしょうか。
ジョサイア・ウェッジウッドが生きた時代は、イギリスで産業革命が起こった時期です。世の中の産業が手工業から機械生産へ転換する時期でした。実業家でもあったジョサイアは、早くから「良質なものを大量に生産する」システムを確立させており、一度に多くの注文を受けられる体制を整えていました。
この「良質なもの」を求める中流階級層が、当時ウェッジウッドを求めたようです。ウェッジウッドの製品は、中流階級が手に入れやすい、比較的庶民的な価格で売られています。ウェッジウッド製品は、あくまで日用品なのです。
ウェッジウッドの技法
さて、日用品として位置づけられるウェッジウッドですが、絵付けや製法の技術水準は非常に高く、それ自体は芸術と言えるレベルでしょう。その技術について少しだけご紹介します。
ブラックバサルト
黒色の素地で焼成されたストーンウェアのことで、この技法を使い、古代エジプトの壺などをウェッジウッドは再現しました。
ブラックバサルトは真っ黒で光沢感があり、それでいて落ち着きと気品があります。開発当時も現在も高い人気を誇っているシリーズです。
ジャスパー
「ポートランドの壺」の複製品を制作する際に用いられた技法です。「ポートランドの壺」のオリジナルは、古代ローマ時代のカメオ・グラス作品です。「カメオ・グラス」という名の通り、オリジナルはガラスで出来ています。それを陶器、つまり土で見事に再現したわけです。その完成度の高さは折り紙付きで、かつて大英博物館に展示されていた本物のポートランドの壺が何者かによって壊された際、この複製品を参考に修復された、というエピソードもあります。
フロッグサービス
ロシアの女帝エカテリーナ2世のために作られた50人分、総数952点(!)のディナーセットです。全てに手描きで繊細な絵付けが施されています。絵柄を見たことがある方は分かると思いますが、あの細やかな絵付けは相当時間と労力が掛かったことでしょうね…。
その芸術性の高さ、技術力から「フロッグサービス」は、ロイヤルコペンハーゲンの「フローラ・ダニカ」、マイセンの「スワンサービス」と共に世界三大ディナーセットに数えられています。
ウェッジウッドの求める芸術
国内外の王族にまで認められるほどの高い技術力・芸術性がありながら、ウェッジウッドは日用品として愛されました。現在でも、家族や友人を招くディナーやティータイムなどのシーンで、ウェッジウッドはとても好まれ、使用されています。
恐らくジョサイアが求めていた陶器というものは、そういった「普通の人々が普通の日々の中で使う芸術品」なのではないでしょうか。
芸術品や美術品とは、高価であることより以前に、鑑賞する人の心を豊かにするものでなければなりません。
仕事や家庭に追われる人々の日々を彩る、日常の中のささやかな芸術。
それを目指したからこそ、ウェッジウッドは、100年、200年と長い年月を経てもなお、人々に愛され続けているのでしょう。
さいごに