【博多店:陶器買取】森陶岳 花生
古備前の美しさに魅せられて
森陶岳は岡山県で室町時代から続く備前焼窯元の家に生まれ、幼少期から自分で焼物を作り育ちました。岡山大学教育学部特設美術科卒業し、一旦は中学校の美術教員になりますが3年ほどで退職し陶芸の道に入ります。現在までに、日本陶磁協会賞金賞受賞、紫綬褒章など様々な賞を受賞しており、岡山県指定重要無形文化財保持者で、古備前の美しさ、古備前の魅力を追求し続けている陶芸家です。
ここで少し備前焼についてお話ししたいと思います。
備前焼は岡山県備前市伊部(いんべ)地区周辺で作られており、陶磁器などの焼物の表面につけることで表面にガラス質を作る釉薬(ゆうやく)を一切使用せず、1200〜1300度の高温で焼成します。
土の特性や、窯の温度変化、窯への詰め方や焼成時の灰や炭などによってその風合いが生み出され、それぞれが一品物です。
また、備前焼は高温の窯で約2週間焼き続けるため「投げても割れない」と言われるほど堅く、表面の気孔のおかげで切花が長持ちするなど機能面でも大変優れています。
備前焼は歴史も古く、その中でも古備前とは備前焼の初期のもので桃山時代以前のものを指します。古備前は現代の備前焼よりも大きな窯で焼成されており、そのことにより、独特の風合いが生み出されます。森陶岳は古備前の魅力を再現するために大窯で焼物を焼成することに尽力します。
森陶岳の挑戦
古備前の美しさを引き出すには古備前が作られていた桃山時代以前と同じ方法で焼成するしかないと考えた森陶岳は大窯の築窯に取り掛かります。しかし、備前焼の大窯での焼成は何百年も前から行われておらず、試行錯誤しながらの挑戦でした。
1979年 兵庫県相生の山中に全長46mの半地下直炎式登り窯を築きました。粘土を紐状にし、それを積み上げて作り上げるひもづくりの大甕や備前焼を53日もの間、窯を焚き続け焼成しました。その後、1983年には岡山県瀬戸市牛窓町寒風に全長53mの寒風大釜(さぶかぜおおがま)を築き、6度にわたり作品を焼きました。
そして1997年寒風大窯での作品作りをすすめるとともにさらに大きな寒風新大窯の築窯を開始します。この寒風新大窯は2008年に完成し、なんとその大きさは85m・幅6m・高さ3mにもなりました。2015年にはこの登り窯を用いて、約1年かけて備前焼初窯焼成を行いました。
出来上がった作品は矢部良明氏(東京国立博物館名誉館員)や臼井洋輔(備前市立備前焼ミュージアム館長)も絶賛する出来映えでした。 そして完成した作品の成分を科学的に分析しても古備前と同等の結果が出たそうです。
さいごに
古備前の美しさを追究するため現代人の誰もが挑戦したことのなかった大窯での焼成を成功させ、ついにその再現を果たした森陶岳。
ご自宅に森陶岳の作品や備前焼をお持ちの方でご売却をお考えの際には、古美術八光堂にご相談ください。作品の状態などにより買取価格も変動するので、まずは一度お品を拝見させていただければと思います。また、メールやLINEでの簡単査定もおこなっておりますので、お気軽にご連絡ください。