【出張買取:茶道具買取】駒沢利斎 莨盆
木工芸によって作られる茶道具の種類は非常に多いため、駒沢家の仕事も多岐に渡ります。
例えば台子、炉縁、茶箱、菓子器、茶杓、香合などの点前道具から、茶通箱、箱炭斗などの水屋道具、露地下駄、蕨箒、湯桶などの露地道具、道具を納める桐箱まで…。少し例を挙げるだけでもこんなにたくさんあります。木工芸と茶道具とは、切っても切れない関係なのです。
そして木工芸、指物と一言で言っても、作り方はもちろん道具によって全く違うでしょう。
それらを何代にも渡ってずっとひとつの家で作り続けてきたのですから、それだけでも技術力の高さが伺えますね。
駒沢家の歴史
では、そんな駒沢家の歴史を簡単に振り返ってみましょう。
駒沢家の始まりは江戸時代。初代が京都で指物家業を起こしました。
京都では、指物を大きく二つに分けることができます。一つは調度指物。箪笥や棚、机などの家具類がこれにあたります。もう一つは茶道指物。こちらは茶の湯で使われる指物のことです。
駒沢家が茶道に関わるようになったのは2代目からで、4代目の時に、表千家6代覚々斎の知遇を得て「駒沢利斎」の名を授かり、以降、当主は「利斎」を名乗るようになります。そして5代目の時には、三千家(表千家、裏千家、武者小路千家)に出入りするようになっていました。
受け継がれる技術と伝統
さて、三千家から出入りを許されるようになった駒沢家。その技術とはどのようなものなのでしょうか。
駒沢家に代々伝わるものとして、「寸法録」というものがあります。これは5代目駒沢利斎が、手掛けた道具の製法を書き記したもので、木の種類や寸法、技法などが詳しく書かれているそうです。まさに秘伝の書ですね。
もちろん利休形(千利休が好んで職人に作らせた道具)も形、技法が代々受け継がれており、今日まで残っているそうです。古くから残る技術をそのまま次世代へ継承していく。他の千家十職の家でも恐らく同じように技術が継承されていると思いますが、こういった日本の伝統的な技術が絶えることなく受け継がれてきているのは、実はとてつもなく凄い事であり、同時に素晴らしいことではないかと思うのです。
木で作られた茶道具は、もともとは新しい木の香りなどを楽しむものだったそうです。
それがいつしか、年代を経た木の色の変化や風合いなどを楽しむようになってきたのだとか。
確かに新しい木の香りも大変良いですが、古い木の雰囲気や味わいもなかなかに良いものです。古くなった木箱や茶杓などの茶道具から、わびさびを感じたりするのもまた一興なのでしょう。
さいごに
江戸時代から脈々と受け継がれてきた駒沢家の技術ですが、現在は当主の早世が相次ぎ、名跡が空席の状態が長く続いています。
14代の甥と、その子息が家督を継ぐべく修行しているそうです。ぜひともこれまで続いてきた伝統を絶やすことなく、次の世代へ、未来へと繋いでいってもらえれば…と、願わずにはいられません。