【横浜店:西洋美術買取】アイリッシュドレスデン フィギュア
アイリッシュドレスデンの歴史
1895年にもととなる陶磁器メーカーの「フォルクシュテット」がアントン・ミュラーによって創立されました。
ミュラーの作品は、高いデザイン性と優れた技巧が評価され、ドイツのシュワルツブルグの伯爵に庇護を受けて瞬く間に評判になりました。
工房が、マイセン発祥の地であるドイツのマイセン地方より少し離れたチューリンゲン地方のフォルクシュテットという所に開設されたことからその名が由来しています。その当時は、「ミュラー・フォルクシュテット」という名称で制作を行っていました。
しかし、第二次世界大戦で工房があったフォルクシュテット全域が破壊され、一度は途絶えてしまいます。
その後、ロシア軍により支配される中、ミュラーの親族であるジョアンナと夫のオスカーが地下室よりモールド(人形の型)を発見。西ドイツへ運び出すことに成功します。そして、1963年には、アイルランドのドロムコリハに工房を再興し、「アイリッシュドレスデン」と改名し、今に至ります。
レースドールの制作
アイリッシュドレスデンの代名詞・レースドールですが、そのレースドールがどのように作られているのかご存知でしょうか?
私が初めて目にした時、レースの部分も陶磁器でできていることにびっくりした覚えがあります。
レースの部分は本当に布でできているかのように柔らかく、規則性のある繊細な編み目はまさに芸術のひとことです。
そのレース部分の制作方法をご紹介いたします。
- 100%綿製のレースに、その網目がつぶれないよう丁寧に磁器粘土を染み込ませる。
- それを素焼きの人形に、一枚一枚タック(飾りひだ)を取りながら貼り付ける。
- 窯の中で高温で焼成することにより、レース本体のみ焼失し粘土部分だけが残る。
このような過程を経て、繊細なレースが作られています。
動画でも公開されていますのでぜひご覧になってみてください。
これらの技術により、ふわりとした柔らかでゴージャスな雰囲気のドレスやヴェール、装飾品を作り出すことができています。
鑑賞者が幸せになるようなロマンチックな表情も、一つ一つが職人さんの手によって絵付けされており、人形ごとに個性を感じられます。
さいごに
ドレスデンのレースドールは、その高い技術と洗練されたセンスにより、世界中で多くの人に愛されています。
戦火から奇跡的にその歴史をつないだドレスデンの人形を大切にし、後世でも一人でも多くの方にアイリッシュドレスデンの魅力を知っていただければと思います。
置き場所に悩む陶磁器の人形(フィギュア)などございましたら、古美術八光堂へお電話ください。
後世へ受け継ぐべく、八光堂がお手伝いをさせていただきます。