【博多店:陶器買取】中島宏 青磁壷
中島宏が愛した青磁
中島宏が愛した技法。
それは青磁です。
青磁とはその名のとおり、青い釉薬が施された磁器です。
中国で生まれたその技法は、なんと紀元前から存在し、青磁は長い歴史の中で多くの人々を魅了していました。
北宋代の皇帝・徽宗(きそう)は、青磁で「雨上がりの雲の間からのぞく空の青」を再現するべく、追求しました。そして出来上がった作品が、「汝窯青磁」という作品です。
芸術を愛したこの皇帝は、20数年という短い期間で国が消滅した為、その空の青色をまとった美しい陶器は、現在世界でも90点程しか存在いたしません。私も何度か拝見致しましたが、なんともいえない青色は唯一無二の美しさを持っています。
日本には現在3点現存しているとされていますが、東京の東京国立博物館と大阪の東洋陶磁美術館で見ることができます。そして、東京国立博物館所蔵の汝窯青磁は、なんとあの文豪・川端康成が所有していた作品でもあります。ちなみに、川端康成は古美術品の収集家としても有名で、国宝も所有していたほどの美術愛好家でした。
中島ブルー
話が脱線してしまいましたが中島宏に話を戻します。
中島宏は製陶所を営んでいた家族のもとで育ちました。家業に従事し、そこで陶器についての基礎を学びます。
当初、家業を好きになれなかった中島宏ですが、父に連れられて訪れた窯跡の調査で転機を迎えます。窯跡の調査中、古唐津や染付の破片の中に混じる青く光る破片に中島宏は魅了されます。それが中島宏と青磁との出会いでした。
周りに青磁は大変だと止められる中、中島宏は青磁なら自分の存在感が出せると考え、青磁の道を歩むこととなります。
その後、中国を旅し古窯をめぐる機会に恵まれ、最高峰といわれた中国の青磁を学びます。古くからの伝統に縛られるのではなく、伝統を基盤とした新たな技法に挑戦をしました。中国の青銅器に習い、彫を入れた作品や独創的な形状、そして独自の青を模索していきます。
そして、経験と知識から導き出された「中島ブルー」と言われたそれらの作品は、青磁の世界に新たな可能性をもたらしました。