芸術的な磁器人形で知られる「リヤドロ」。その歴史と作品の価値とは
リヤドロは、スペインの東部バレンシア州アルマセラ発祥の磁器メーカー。ポーセリンアートと呼ばれる精巧なつくりの美しい磁器人形(フィギュリン、フィギュア)で知られており、現在でも世界中で愛されています。
この記事では、そんなリヤドロの歴史や作品の特長・評価などについてご紹介します。
リヤドロの歴史と生い立ち
▲リヤドロの発祥の地、スペイン・バレンシアの街並み
リヤドロの誕生
リヤドロの発祥は1953年、スペインのバレンシア近郊の街・アルマセラにて、ホアン、ホセ、ビセンテのリヤドロ3兄弟が窯を開いたのが始まりです。3兄弟は10代の頃からバレンシアの美術学校で彫刻や絵画を学んでおり、陶芸師の道を志していました。
3兄弟が作ったランプ用の小さな花飾りは近所で大変評判だったと言います。その後、彼らの事業は軌道に乗りはじめ、磁器花瓶などの製作も行うようになります。さらには磁器人形の制作にも取り組むようになりました。この試みにより、後に世界的に有名になるリヤドロ磁器人形が生み出されることとなったのでした。
リヤドロの発展
1955年にはバレンシア市内に店を出し、評判になります。1958年にはバレンシア市近郊のタベルネス・ブランケス(※)に工場を新設。1960年にはリヤドロのマークに「SPAIN(スペイン)」の文字が刻まれるようになり、国を代表する磁器ブランドとしての発展が始まりました。
さらに1968年にフィギュリン製品(※)のブランド「NAO」を新設。価格帯を抑えたこれらのシリーズは人気を博しました。1969年には代表作のひとつ「悲しきピエロ」を発表。また、同年には後に「ポーセリン(磁器)シティ」と呼ばれる施設の一部が完成しました。
1974年には、後の「ポーセリンシリーズ」の代表作となる「エリートコレクション」を発表。2年後の76年には、リヤドロで開発された磁器土を用いて製作された製品も発表しました。
バレンシア州バレンシア県にある場所。リヤドロの本社がある。
(※)フィギュリン製品
陶磁器で作られた人形、または彫像などの立体造形作品で、芸術的技法によって象られたもの全般を指す。
世界で愛される磁器ブランドへ
1980年代になると従業員は2000人を超え、スペインきっての大企業に。100カ国以上に製品を輸出する世界的なブランドへと成長し、輸出とともに日本やアメリカなど世界各地に販売拠点も作られました。また、世界的な磁器メーカーの地位を確立してからも、リヤドロは常に新しい挑戦をし続けています。
1999年には磁器と宝石やゴールドなどを組み合わせた「レジェンドシリーズ」を発表。2000年代に入ると、スペインの著名なアーティストをアートディレクターに迎えて新たなコレクション制作に着手。以降もアーティストとのコラボ作品をはじめ、芸術性の高い作品作りが行われています。
リヤドロの作品の特長。手作業が叶える美しい作品の数々
リヤドロ人形の特長
リヤドロの陶器人形といえば、誰しも一度は目にしたり触れたりしたことがあるのではないでしょうか。
磁器ならではの落ち着いた質感・ほっそりとした洗練されたシルエット・豊かな表情…リヤドロ人形はまさに芸術品という名にふさわしい仕上がりが特長です。
リヤドロ人形のモチーフは、神話の登場人物や天使や女神、シェイクスピア作品の登場人物、女性、動物など多岐に渡ります。日本向けの製品としては、五月人形や雛人形もあります。その表情やポーズは写実的なものからメルヘンチックなものまでさまざまです。
手作業によるこだわりの製品づくり
リヤドロの製品づくりは、創立以来手作業による分業を基本としています。企画・デザイン・彫刻・塑像・絵付け・釉薬・焼成と、各部門の専門家が高度な技術と知識を持ちより、作品が作られています。
リヤドロ製品は磁器人形だけではない
リヤドロといえば磁器の人形が有名ですが、そのほかにも陶花(陶器で作った造花)や花瓶・オブジェ・飾り皿・オーナメント・時計・装飾品・茶器・照明器具・鏡・チェスの駒・酒器など、さまざまな製品が製造されています。
リヤドロ作品の評価とは?芸術品として高い評価を受けている
リヤドロの磁器人形は、芸術品として世界的に高く評価されています。スペインの「アストゥリアス皇太子賞(※)」を1993年・1997年・2002年の3度受賞しています。また、ロシア・サンクトペテルブルクにある「エルミタージュ美術館」やベルギー・ブリュッセルの「ベルギー王立美術館」に所蔵されている作品もあります。
そんなリヤドロの磁器人形は、サイズやシリーズ・保存状態などによって買取相場にかなり幅があります。サイズが大きいものや限定品・希少価値が高いシリーズで、保存状態がよく付属品も揃っているなどの条件が揃っていれば、高値での取引が期待できます。
アストゥリアス王太子が主宰するスペインの賞のこと。スペイン王太子賞、王太子賞とも呼ばれる。
古美術八光堂ではリヤドロ作品の鑑定・買取査定を行っています。専門知識が豊富な鑑定士が査定し、他店より高値でのお買取りも可能です。鑑定・査定を検討中の方は、コチラのURLをご確認ください。
リヤドロ買取
リヤドロ作品紹介
「リヤドロ フィギュア 『散歩する女性』」
スケッチからはじまり、フィギュアの焼成まですべて一貫して手作業で制作されているリヤドロ。陶磁器にもかかわらず女性の柔らかな曲線やスカートのなびき方までもが再現されています。長いシルエットはリヤドロの磁器人形の特徴でもあります。
「リヤドロ フィギュア 『公園通りの花屋さん』」
チューリップや薔薇、マーガレットなどの色とりどりの花があふれんばかりに咲いています。こちらの花々はアーティストの手によりひとつひとつ丁寧に作られています。人形の表情やフォルムもさることながら、背景部分にも細やかな心遣いがなされています。
「リヤドロ フィギュア 『ひな人形』」
女の子の成長を願う「桃の節句」。ひな人形には、生まれた女の子が健やかに育つよう、災いを跳ね除け幸せになれるよう親の願いが込められています。そんなひな祭りをリヤドロとともに迎えられる、日本ならではの作品です。
まとめ
芸術性の高いポーセリンアートで世界中から愛されるブランド・リヤドロ。その美しい意匠は、現在でも脈々と受け継がれています。そんなリヤドロの作品は買取市場でも人気が高く、作品によっては高額で取引されています。キズや汚れがあっても、査定額が高くなる作品も数多くあります。リヤドロの作品の買取を検討されている方は、ぜひ一度ご相談ください。
陶器高額買取