デンマーク王室によって生まれた磁器ブランド・ロイヤルコペンハーゲン
1775年にデンマークで誕生した磁器ブランド「ロイヤルコペンハーゲン」。デンマーク王室用正餐食器「フローラダニカ」をはじめ、青と白の染付けが美しい「ブルーフルーテッド」などのシリーズで知られています。
その気品ある意匠と卓越した技術は、現在でも世界的に高く評価されています。この記事ではそんなロイヤルコペンハーゲンの歴史や特徴・評価などについてご紹介します。
ロイヤルコペンハーゲンのプロフィールの歴史と成り立ち
▲ロイヤルコペンハーゲンの発祥地、デンマーク・コペンハーゲンの風景
ロイヤルコペンハーゲンの誕生
ロイヤルコペンハーゲンの始まりは、1775年デンマーク。当時のヨーロッパは東洋磁器が人気を博しており、さらに1710年にマイセンがヨーロッパ初の硬質磁器を完成させたことによって、一大磁器ブームが起きていました。各国貴族は硬質磁器を自らの手で生み出そうと磁器研究所を各所につくり、その研究に邁進していました。
そんな中でデンマークにも「王立デンマーク磁器製作所」が設立され、鉱物学者のフランツ・ハインリッヒ・ミューラーによって硬質磁器の実験が行われていました。1770年に国内原料で初めて磁器の焼成に成功。これを機に、時の皇太后ジュリアン・マリーの支援で「デンマーク磁器製作所」が開設されました。これがロイヤル・コペンハーゲンの始まりです。
王室専用の窯として発展
その後、1779年に「王立コペンハーゲン磁器製作所」となり、以降100年あまり王室専用の窯として磁器の制作にあたるようになりました。1790年には、国王クリスチャン7世が、当時親交の深かったロシアのエカテリーナ2世への贈り物として「フローラダニカ」という食器セットを制作しました。
このパターンは後世にも残るロイヤルコペンハーゲンの代表作です。その芸術性の高さと技術力の高さから、「フロラーダニカ」は世界三大ディナーサービス(※)のひとつに数えられています。その後、1848年にデンマークは立憲君主制になり、1868年に王室は「ロイヤル」の称号を残すことを条件に窯を民間企業に売却しました。
ディナーサービスとは、食器一式セットのこと。マイセンの「スワン・サービス」、ウェッジウッドの「フロッグ・サービス」、ロイヤルコペンハーゲンの「フローダニカ」の3つが世界三大ディナーサービスとされる。
ロイヤルコペンハーゲンの作品の特徴は?職人が生み出すラグジュアリーウェア
▲ロイヤルコペンハーゲンの絵付け作業台
すべて職人の手作業でつくられるラグジュアリーウェア
ロイヤルコペンハーゲンは、プレート・マグカップ・カトラリーなどの食器類から、茶器・酒器・壺・花瓶等のほか、磁器人形(フィギュア)・彫像・ボタン・時計なども製作しています。その全ての製品は、原料の磁器土の採取から焼成・絵付け・箱詰めに至るまで、数ヶ月かけて職人の手作業で制作されています。
製品の裏側には「王冠」と「3本の波線」のバックスタンプ
ロイヤルコペンハーゲン製品の裏側には、ペインターのサイン、シェーブナンパー(「王冠」と「3本の波線」)が入れられています。王冠はデンマーク王室御用達の証を示しており、3本の波線はデンマークを囲む主要な海峡である「エーレスンド海峡」「大ベルト海峡」「小ベルト海峡」の3つの海峡を表しています。
ロイヤルコペンハーゲンの代表的なシリーズ
ロイヤルコペンハーゲンには、多数のシリーズがあります。代表的なものは以下です。
・フローラダニカ
フローラダニカは、ロイヤルコペンハーゲンを代表するパターンのひとつです。国王クリスチャン7世がロシアのエカテリーナ2世への献上品として制作したもので、世界で最も豪華なディナーサービスのひとつとして知られています。このパターンは、デンマークに生育する植物を器に再現しようというコンセプトのもと、デンマークの花図鑑「フローラダニカ」に掲載された2600種類もの草花を一点一点手作業で描いています。総数は1802点にのぼり、それぞれに異なる植物とそれぞれのラテン語学術名が記載されています。エカテリーナ2世の没後は制作が打ち切られ、デンマークの国宝として所蔵されています。
・ブルーフルーテッド・プレイン
ブルーフルーテッド・プレインは、最もスタンダードな絵柄で、ロイヤルコペンハーゲンの顔とも言えるシリーズです。ロイヤルコペンハーゲンにおいて最初に作られた絵柄のため、「パターン1」とも呼ばれています。当時ヨーロッパでは中国などの東洋磁器が人気で、ブルーフルーテッドの絵柄は中国の青と白の染付皿にインスパイヤされ、発展したものと考えられています。絵柄が発表されて以来現在に至るまで、その絵付け技術が受け継がれており、現在でもすべて手作業で絵付けされています。
ロイヤルコペンハーゲン・作品の評価は?希少価値の高いものも多数
ロイヤルコペンハーゲンの作品はすべて職人の手作業で丁寧に作られており、希少価値が高いものが多数あります。コレクターからの人気も高く、シリーズによっては高い価値がついているものも少なくありません。
ロイヤルコペンハーゲン買取
ロイヤルコペンハーゲンの作品紹介
「ロイヤルコペンハーゲン ブルーフルーテッド」
ブルーフルーテッドは、ロイヤルコペンハーゲンにとって最初に制作されたシリーズとなります。絵柄は中国の染付から着想を得て描かれており、現在でもすべて職人の手により絵付けが施されています。ブルーフルーテッドには、「プレイン」「ハーフレース」「フルレース」の3種類のデザインがあります。
「ロイヤルコペンハーゲン テネラ」
ロイヤルコペンハーゲンの王道とは異なるテネラシリーズ。テネラは女性アーティストを起用し、モダンかつポップなデザインで人気を得ています。このテネラはファイアンス焼きという製法で作られており、ロイヤルコペンハーゲンとは違った素朴な風合いが特徴のシリーズです。
「ロイヤルコペンハーゲン フィギュア 猫」
ロイヤルコペンハーゲンのフィギュアは、小鳥や猫など動物シリーズが人気を博しており、コレクションされている方も多くいらっしゃいます。動物のフォルムや毛の質感など、一瞬一瞬のそのリアルな表情が表現されています。
まとめ
デンマーク王室用正餐食器「フローラダニカ」をはじめ、青と白の染付けが美しい「ブルーフルーテッド」など、多数のシリーズを展開するロイヤルコペンハーゲン。現在でも世界中で愛され、コレクターが多数存在するブランドです。
そんなロイヤルコペンハーゲンの作品は買取市場でも人気が高く、作品によっては高額で取引されています。キズや汚れがあっても、査定額が高くなる作品も数多くあります。ロイヤルコペンハーゲンの作品の買取を検討されている方は、ぜひ一度ご相談ください。
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