生前整理でやることは多い!上手く進めるためのポイントを解説
体が健康で元気があるうちに身辺や財産などを自分で整理しておく「生前整理」を始める人が増えています。生前整理をしておけば、自分の死後、遺品整理や相続や手続きなどがスムーズになり、残された家族の負担を軽減できます。今回は生前整理ではどのようなことをするのか、上手に行うためのポイントなどをご紹介します。
生前整理とは?生前整理の概要をご紹介。
生前整理とは、生きているうちに自分で行う身辺整理や財産整理のこと。家の中の不要物を捨てたり、どこに何があるのかを確認して片付けをしたり、財産目録や遺言書・エンディングノートを作成したりします。
生前整理を行う目的は、自分の死後に残された家族や親族が遺品整理や財産分与をしやすくするためです。家の中が片付いていたり、貴重品の在り処が明確になっていたり、財産目録が記されていたりすれば、遺族への負担を大きく軽減できます。
また、遺言書やエンディングノートに自分の死後の希望を伝えておけば、財産分与や相続に関するトラブルを防ぎやすくなるでしょう。
生前整理をする必要性・メリットとは?
それでは、生前整理を行う必要性やメリットとしてはどのようなことが挙げられるのでしょうか?
以下で解説します。
生前整理を行うことによって得られる自分にとっての3つのメリット
・死後も自分の希望を叶えることができる
生前整理をするメリットのひとつは、「自分の死後に所有物をどう扱ってほしいか」「財産をどのように分けてほしいか」「葬儀はどのような方法でしてほしいか」など、自分の死後の希望を伝えておける点です。
・残りの人生を前向きに捉えられる
生前整理と聞くと「死ぬための準備」といったネガティブなイメージを抱く方も多いかもしれません。しかし、生前整理は残りの人生を前向きに捉えるためにも必要な作業と言えます。これまでの人生を振り返りながら、今後の人生をどう生きていくか改めて考えるきっかけにもなるはずです。また、家の中の不要なものを処分したり本当に必要な物だけに選別したりすることで、暮らしをシンプルに・穏やかにできるでしょう。
・後悔が少なくなる
生前にエンディングノートを作成すれば、残された家族や親しい人に自分の思いを伝えることができます。普段はなかなか口にできない感謝の言葉やメッセージを残しておけば、「もっと自分の気持ちを伝えておくべきだった」といった後悔を少なくできるはずです。
生前整理を行うことによって得られる遺族にとっての5つのメリット
・手術や延命措置など、重大な場面での判断に悩まずに済む
例えば、あなたが命に関わる重い病気にかかり、手術や延命措置などの選択を迫られたとき、治療を行うのか否か、ご家族が判断に悩む場面があるかもしれません。そういった万一の場面でどうしてほしいか、前もってご自身の希望を伝えておくと、家族の方は判断や行動をとりやすくなるでしょう。
・故人の希望に沿った内容で葬儀や供養を行える
家族が亡くなったとき、「どのような形式でどのような規模の葬儀を行うのか」「どのような供養を行うのか」といったことに頭を悩ませる遺族は少なくありません。生前に自分の葬儀や供養をどのように行ってほしいのか伝えておけば、遺族の方も安心して執り行えるのではないでしょうか。
・財産について調べる手間を省くことができる
家族が亡くなったとき「財産がどこに・どのくらいあるのか」を知らないと、財産について調べたり探したりする時間と手間がかかります。生前整理で財産目録を書き記しておくと、遺族への負担を軽減できます。
・遺品整理に時間をかけずに済む
遺品整理というのは想像以上に時間と手間がかかる作業です。自分以外の人の部屋から貴重品を探したり、物を片付けたりするのはとても大変。生前整理で家の中を片付けておけば、遺品整理の時間と手間を軽減できます。
・相続にめぐる親戚間トラブルを防げる
相続をめぐって親戚間や家族間で揉めるケースは少なくありません。相続において最も重要視されるのは、故人の意思、つまり遺言書です。生前整理で遺言書を作成し、遺産を誰にどう分配するのか決めておけば、相続に関するトラブル回避につながります。
生前整理をする前に知っておきたい。生前整理で行うべき4つのこと
実際に生前整理を行う際には以下の4つのこと意識してはじめましょう。
それぞれについて解説します。
財産目録を作る
財産目録とは、自分の財産一覧表のこと。預貯金や定期預金・不動産・土地・有価証券・美術品や骨董品・宝飾品・貴金属類はもちろん、借金や負債も含まれます。財産目録を作成しておくと、遺族は財産を調べる手間が軽減でき、相続に関する手続きなどもスムーズに進みます。
エンディングノートを書く
エンディングノートとは、自身の人生や終末について記したノートのことを指します。エンディングノートには遺言書とは違って法的な効力はありませんが、大きな病気をして生命に関わる治療を迫られたときの対処方法や葬儀・お墓などに関する自分の希望を書き記すことができます。形式や書式にも決まりはないので、思い出の写真を貼ってアルバムのようにしたり、自分の人生を振り返って言葉を残したり、家族や友人に伝えておきたいメッセージを残したりなどもできます。
不動産の整理を行う
家族が亡くなったとき、遺族が不動産や土地の相続に悩むケースは少なくありません。最近では、相続後に放置された空き家が増加し、社会問題にもなっています。そういったトラブルを防ぐために、不動産や土地を所有している方は、相続手続きをスムーズに行えるように権利書や契約書を揃えるなどの整理をしておくことをおすすめします。ご自身で行うのが難しい方は専門家に相談するのも良いでしょう。
パソコンやスマホなどデジタル製品を整理する
近年、若者から高齢者まで全世代にパソコンやスマホなどのデジタル機器が普及したことにより、所有者が亡くなった後に残されたデジタル機器やデータの扱いに関するトラブル・お悩みが増えています。ぜひ生前整理の一環としてデジタル機器の整理も行っておきましょう。不要なデータや不要なアプリ・不要なアカウントの整理や、ログインIDやパスワードのリスト化、友人の連絡先のリスト化などをしておくと、いざというときに安心です。
4つポイントにプラスα!生前整理で行いたいこと
4つのことにプラスαで以下の5つを行うと、生前整理がよりスムーズに進みます。
可能な範囲で進めてみましょう。
家の中の不用品を処分する。判断に迷ったら査定を検討
家の中にある必要な物と不要な物の仕分け作業、不用品の処分作業もぜひ行っておきたいところです。押し入れやクローゼット・タンスなどを覗き、何があるのかを確認。これからも使う物と捨てるものに選別し、不要なものは処分します。この作業は時間も体力も使いますので、長期的な計画で進めていくと良いでしょう。なお、処分するかどうか迷う骨董品や美術品、貴金属などがある場合は、まずは専門の買取業者に査定依頼をしてみることをおすすめします。
遺品・蔵整理高額買取
日用品の整理
化粧品や衣類・小物・キッチン用品・小型家電など、買ったものの使っていない物や、なんとなく捨てずに取ってある物なども、整理しましょう。
思い出の品の整理
写真アルバムや日記・記念品など、思い出の品の整理も行いましょう。最近では写真や動画などはデータ化し、物自体は処分する人も増えています。専門業者を利用すれば、VHSなどもデータ化してもらうことが可能です。
コレクションの整理
例えば切手やポスター・絵葉書・フィギュア・食器・美術品・骨董品など、コレクションをお持ちの方はそれらの整理も行いましょう。趣味の物はなかなか手放しがたいものですが、今後の人生においても手元に残すべきか否か、しっかり考えて取捨選択をしたいところです。
自分史の作成
エンディングノートの一環として、これまでの自分の人生を振り返って自分史を書くのもおすすめです。自分の生まれた地のこと、幼少期の思い出、学生時代のエピソード、仕事を通して考えたこと、友人との思い出、人生を見つめて思うことなど、自分の人生を書き記してみましょう。
生前整理でやることはリスト化して効率的に進めよう
ここまでご紹介したように、生前整理ではやることがたくさんあります。
生前整理の本質は、これまでの人生を振り返りながら、自分の人生に関わってきた物を整理整頓すること。想像以上に時間がかかります。そこでおすすめなのが、やることリストの作成です。
リスト化することで進捗状況が分かりやすくなり、計画的に進められます。完了した項目も一目瞭然になるので、達成感にもつながるでしょう。
生前整理の上手の進め方は?コツは?
生前整理を上手に進めるための「進め方」やコツについてご紹介します。
やることリストに沿って計画的に進めよう
生前整理はやることがたくさんあり時間もかかります。ただやみくもに進めるよりも、やることリストに沿って計画的に進めた方が効率的です。生前整理として行っておきたい項目を書き出し、それぞれをさらに細かく分けてリスト化します。完了期日も設けておくと良いでしょう。
生前整理をする際のマインドやポイントを解説
・ポジティブな気持ちで取り組もう
生前整理は人生の終末に向けての身辺整理・財産整理ではありますが、「死ぬための準備」とネガティブに捉える必要はありません。生前整理は、これからの人生をより暮らしやすくし、家族や親しい人たちの幸福を願って行うためのもの。そう考えて前向きに、ポジティブな気持ちで取り組むことが大切です。
・全てを一気にやろうとせず、長期的な計画で
生前整理では、遺言書の作成や財産目録の作成・不動産の整理・家の片付け・不用品の処分・エンディングノートの作成……などやることがたくさんあります。全部を一気にやろうとすると挫折しかねないので、やることリストにしたがって長期的な計画で進めることをおすすめします。
・自分だけでできないこと・判断に困ることは専門家に相談を
生前整理をするにあたって自分ではできないこと・判断に困ることも多数発生するかと思います。例えば、「財産の生前贈与の仕方がわからない」「大型家電や大型家具を捨てたいけれど、運搬できなくて処分が難しい」「価値がわからない美術品があって処分に困る」など。そういった場合は自分だけで解決しようとせず、各分野の専門家や専門業者に相談を。
・家族と一緒に進めよう
生前整理は自分だけで進めるのではなく、ご家族を巻き込んで一緒に行うのが理想的です。生前整理を一緒に行うと、自然とコミュニケーションが密になるものです。普段の会話では話さないような生や死に関する話をするきっかけにもなるでしょう。生前整理の作業そのものが、自分の思いを家族に伝える時間・家族の考えを知る時間になるはずです。
生前整理の業者・役立つサービスを紹介。買取業者も活用しよう
生前整理に関してわからないことや自分だけでは解決できない問題がある場合は、専門家に相談することが大切です。ここでは、生前整理で頼りになる専門家や活用方法についてご紹介します。
財産整理をサポートしてほしいときに頼りになる専門家は?
財産整理に関するサポートが必要な場合は以下の専門家が頼りになります。
専門家 | できること |
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税理士 | 税に関する全般的な相談・相続税の試算・財産目録の作成サポートなど |
弁護士 | 遺言書の作成サポートや相続に関する全般的な相談など |
ファイナンシャルプランナー | 資産運用や相続など「お金」に関する相談やサポート |
司法書士 | 遺言書の作成サポートや相続人や相続財産の調査など |
デジタル製品の整理をサポートしてほしいときに頼りになる専門家は?
パソコンやスマホなどのデジタル機器の整理に関するサポートが必要な場合は以下の専門家が頼りになります。
専門家 | できること |
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デジタル遺品整理業者 | データの取り出し・パスワード解析・データ整理など |
各スマホのキャリア会社 | 契約中のスマホに関する全般的な相談など |
各メーカーの相談窓口 | 使用中の機器に関する全般的な相談など |
不用品回収業者 | デジタル機器の回収・処分 |
コレクション・骨董品・美術品や不要になった貴金属の整理をサポートしてほしいときに頼りになる専門家は?
コレクションや骨董品・美術品などの整理に関するサポートが必要な場合は以下の専門家が頼りになります。
専門家 | できること |
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美術品買取業者 | 骨董品や美術品の査定・買取 |
買取専門店 | 貴金属・ブランド品・フィギュアなど、コレクション全般の査定・買取 |
遺品・蔵整理高額買取
実際に生前整理をした人の声
最後に実際に生前整理を行った方のコメントをご紹介します。
生前整理をすることには、さまざまなメリットがあるとわかります。
●横浜市 M・Yさん(71)
定年退職を機に、生前整理を始めました。仕事をやめてセカンドライフに向けて生活が大きく変化していくときに始めたのはよかったと思っています。始めてみてわかったのは、生前整理は非常に時間がかかるということです。まだまだ途中ですが、時間ができた今、ゆっくり進めていければと思っています。
●熊本市 K・Hさん(43)
親族が他界した際に遺品整理や相続で苦労した経験があるので、私は早めに生前整理を始めようと思い立ち、先月から少しずつ進めています。家の断捨離も兼ねているので、楽しく取り組めています。昔の写真を見返したり卒業アルバムを読み返したり、あらためて自分と向き合うことで新たな発見もあります。私はまだ40代ですが、早めに生前整理を始めるのはとてもおすすめです。
●大阪市 T・Kさん(54)
父親の老人ホームへの入所が決まり、その前に父親といっしょに家族で生前整理を行いました。一緒に作業していく中で、父親の家族にたいする思いや葬儀や供養・お墓の希望などを聞くことができました。また、私たち家族の思いを伝えることができました。これまでそういった話を真面目にすることはほとんどなかったので、家族にとっても父親にとっても必要な時間だったと思います。
まとめ
生前整理は、自分の死後残された家族の負担を軽減するもの。なおかつ自分自身にとっては、人生後半に向けた身じまいの役割もあります。だからこそ、自分の生きてきた人生を振り返りながら、家族のことを思いながら、丁寧かつ慎重に行いたいものです。専門家の手助けも借りながら、無理なく計画的に取り組んでいきましょう。