遺品整理で悩む「仏像」の処分とは?
遺品整理の中でも、特に処分方法が分かりにくいものの一つが「仏像」です。故人や先祖代々が手を合わせ大切にしてきた仏像は、粗末に扱いたくないもの。そこまで信心深くなくても、なるべく丁寧に処分してあげたいと感じる方が多いと思います。この記事では、仏像の処分方法や供養の手続きなどをご紹介します。
遺品整理で仏像が。まずやるべきことは?
遺品の中から仏像が出てきたときに、最初にやるべきことを2つご紹介します。
1.遺言書の有無を確認する
まずは遺言書があるかどうか確認しましょう。遺言書で仏像についての処分方法が記載されている可能性があります。
見つけても封がしてあるものは、ご自分の判断で開封してはいけません。内容を明確にし、偽造を防ぐために家庭裁判所での検認が必要となりますので、故人の住所地管轄の家庭裁判所へ連絡をしましょう。
またご自宅に遺言書が見当たらない場合でも公正証書遺言を作成している可能性がありますので、念のため公証役場に確認しましょう。公正証書遺言には遺言執行人がついている場合が多いので、必ず仏像の処分についても話し合いましょう。
2.親族に伝え、処分方法を検討する
仏像の処分方法が遺言書に書かれていない、もしくは遺言書自体が無い場合でも、すぐに処分してはいけません。特に仏像は故人や先祖、親戚の思いがつまっているもの。後からトラブルに繋がってしまう可能性があります。親族との相談は、できれば法要時に行うなど、多くの親族が集まる日程で行うと効率が良いです。参加できない方には、現場にいるものの判断で処分するということを了承してもらいましょう。
遺品は相続財産ですが、仏像は「祭祀財産」に該当します。祭祀財産については以下の項目で詳しく解説します。
仏壇・仏具で買取できるものは年代物、または丁寧な細工が施されているものとなります。最近作られたものや、特殊な細工がない場合は買取できる可能性は低くなります。
相続する方は知っておきたい「祭祀財産」とは?
仏像は故人の財産の中でも「祭祀財産」に当たります。聞きなれない言葉かもしれませんが、祭祀財産とはどのようなもので、相続財産とはどう違うのでしょうか。
祭祀財産とは?
祭祀財産とは、故人が遺したもののなかでも、相続財産とならないものをいいます。具体的には仏像・仏壇・仏具・家系図、お墓や遺骨など、一族の催しを行う際に必要なもののことです。
祭祀財産の相続の仕方
祭祀財産は、葬儀や法要など、一族の催しを代表して行う人「祭祀主宰者」が相続します。基本的に祭祀主宰者は一人です。長男が引き継ぐものという考えがありますが、法律ではそういった決まりはありません。
故人から遺言書や生前に口頭などで指定があった場合は、その人が祭祀主宰者となります。指定が無い場合は慣習に従い親族の話し合いで決め、その人が祭祀財産を相続することとなります。慣習が分からず、揉めごとが起こりそうな場合は家庭裁判所が定めることになります。親族からの同意書があれば、友人など、親族以外の人が相続することもできます。借金などで財産の相続を放棄していても、祭祀財産を継承することは可能です。
祭祀主宰者は、仏像の手入れや仏壇へのお供え物、お墓の掃除などを行います。先祖代々への感謝の気持ちを伝えることを、親族を代表して行う人というイメージです。
祭祀主宰者が祭祀を行わなかったとしても、法律で決められているわけではないので罰せられることはありません。しかし何もしない人が祭祀主宰者になってしまうと親族の不満も溜まりますので、相談して慎重に決めたいものです。
相続財産との違い
通常の相続財産であれば相続人の間で分割されますが、祭祀財産は基本的に一人に受け継がれます。相続人が複数になってしまうと、祭祀を行う際にトラブルとなってしまう可能性があるからです。
また相続財産とは違い、相続税の課税対象とはなりません。投資目的で所有する祭祀財産については課税対象となります。
絶対に必要?仏像を処分する前に知っておきたい「閉眼供養」
仏像を処分する前に忘れずに行いたいのが「閉眼供養(へいがんくよう)」です。閉眼供養とは、仏像に宿した仏の魂を抜き、役割を終わらせるために行う法要をいいます。
仏像は、彫り師によって魂が込められていますし、自宅などに祀る前に信仰の対象とするための儀式として「開眼供養(かいがんくよう)」という法要を行っています。地域や宗派によっては「魂抜き」「お性根抜き」などと呼ばれることもあります。浄土真宗では魂という概念がありませんが、「入仏法要」「遷仏法要」と呼ばれる同様の儀式が行われます。
閉眼供養を行わずに処分することは、魂を捨ててしまうことになってしまいます。故人や先祖代々が手を合わせ、祈り、大切にしてきた仏像です。感謝の気持ちを込めて閉眼供養を行うことで、故人を喪った悲しみや、仏像を処分することに対する後ろめたい気持ちなど、ご自身の気持ちもきっと和らぐことでしょう。
遺品整理で出た仏像を処分する4つの方法
ここからは、仏像を処分する具体的な方法を4つご紹介します。ご自身の仏像に対する考え方や費用と相談しながら、最適な処分方法を検討しましょう。仏像を処分するときに感じる後ろめたさを少しでも減らす方法を選ぶのがおすすめです。
1.法要などでお世話になっているお寺で処分してもらう
故人の墓が置かれていて、法要などでお世話になる菩提寺に仏像の処分をお願いすることができます。閉眼供養も一緒に行ってくれるので、依頼するときも安心です。仏壇や位牌、遺影など、その他仏具の処分についても事前に相談し、まとめてご供養してもらいましょう。
処分する際はお布施という名目の費用がかかります。明確に金額は決まっておらず、宗派や寺院によって異なりますが3~7万円ほどのことが多いようです。遠方に住んでいて仏像を直接持ち込むことができない場合は、同じ宗派なら近場のお寺でも問題ありません。しかし、檀家以外は断っているところもありますので、確認してから持ち込みましょう。
2.仏具店の引き取りサービスを利用する
仏壇・仏具を販売する仏具店では、仏像の引き取りも行っています。引き取りの費用はおよそ1~3万円ほどかかるところが多いようです。さらに仏像の大きさや仏具店まで運ぶ距離などで手数料がかかる可能性もあります。仏具店で引き取ってもらった場合は、後日合同供養としてまとめてお焚き上げを行うことが多いようです。確認してからお願いするのがいいでしょう。
3.粗大ゴミとして処分する際の注意点
仏像をゴミとして処分する場合、まずはお住まいの自治体に捨て方を確認しましょう。50cm以上のものを粗大ゴミとして扱うことが多いようです。費用は仏像の大きさと自治体によって異なり、200円~2000円ほどかかるのが一般的です。ご自身で閉眼供養を行い、感謝の気持ちを伝えてから処分しましょう。
4.遺品整理業者に引き取ってもらう
仏像は、遺品整理業者に引き取ってもらうこともできます。他の遺品とともにまとめて整理できるのが便利です。引き取りには費用がかかりますが、遺品買取も行ってもらう場合は相殺されて費用が軽減される場合もあります。遺品整理業者の中には、仏壇・仏具の処分を専門的に行っているところもあるようです。しかし、供養までは行わないことが多いため、ご自身の手で閉眼供養を行ってからお願いするようにしましょう。
仏像買取
※仏像を処分する際の注意点
仏壇・仏具で買取できるものは年代物、または丁寧な細工が施されているものとなります。最近作られたものや、特殊な細工がない場合は買取できる可能性は低くなります
まとめ
ご家族やご親族の遺品整理は、その人の人生や思いを垣間見ることができます。各種手続きに追われ、やることも多いのですが、故人が大切にし、手を合わせてきた仏像を最後まで丁寧に供養することは、故人への感謝の気持ちを伝えることにほかなりません。きっと故人を喪ったことによる悲しみも和らぐことでしょう。
仏像買取