掛軸の正しい保管方法・手入れ方法とは?
日本の伝統として古くから受け継がれている掛軸。しかし近年では、住宅事情によって掛軸をかける場所がなく、持て余している方も増えているようです。また、おうちにある掛軸をどう扱っていいかわからなくて困っている方も多いかもしれません。そこで今回は、掛軸の基本的な取り扱い方や正しい保管方法・手入れ方法・売却時のコツなどについてご紹介します。
掛軸の基本的な取り扱い方法
掛軸はとてもデリケート
掛軸は、表装用布と裏打ち用和紙と書画によって仕立てられたもの。そのため、湿気の影響を受けやすく、非常にデリケートです。掛軸をかけるとき・外すとき、いずれの場合も、そのことをまずは頭に入れておいてください。
掛軸を扱うときは、必ず手を洗って清潔にしておきましょう。手に皮脂や汗・化粧品・油などがついていると、掛軸が汚れてしまいます。また、水気はしっかり拭いておきましょう。和紙が湿気を吸って劣化の原因になります。
掛軸の掛け方
掛軸は、軸箱という専用の箱に入っています。軸箱から出したら、床に軸部分を起き、掛軸を巻いている巻紐を解いて掛軸を広げましょう。その後、矢筈(やはす)という掛軸をかける道具に掛軸をかけます。そして、両手でゆっくりと掛軸を垂れ下してください。巻き癖がついている場合は、軽く逆巻きにして直します。かけ終わったら少し遠くから見て、左右のバランス・高さなどをチェックします。
なお、掛軸を長期間かけたままにしておくと、湿気による反りや日焼けによる変色・シミが心配です。かけっぱなしにせずに、3日に一度程度は外すようにしましょう。
掛軸の外し方
掛軸を外すときは、まず柔らかい羽ほうきなどを使って、表面についているホコリを優しく払います。掛軸の横に矢筈を立てかけておきます。次に、掛軸を上に向かって巻いていきます。風帯(掛軸の上部にある垂れ飾りのこと)の下まで巻けたら、片手で掛軸を、もう片手で矢筈を持って、矢筈をかけ紐にひっかけます。そのまま掛軸を外して床に置きましょう。
掛軸を飾る場所の注意点
掛軸は基本的に和紙でできているため、空気中の湿気を吸収しやすい性質があります。さらに、直射日光の当たる場所では、紫外線の影響で変色したりシミがついたり日焼けしたりする恐れも。掛軸を飾る際は、高温多湿な場所・直射日光の当たる場所は避けてください。
また、掛軸の近くに花を生けるのをよく見かけますが、掛軸へのダメージを考えるとあまりおすすめできません。花瓶の水による湿気や花粉がつくことがあるので注意が必要です。花を飾りたい場合は少し離すようにしましょう。
掛軸の上手な保管方法
掛軸は、保存状態が悪いと著しく劣化し、価値が下がってしまいます。良い状態を保つために、上手な保管方法を知っておきましょう。
掛軸を保管するときは桐箱に
一番良い保管方法は、桐箱に収納すること。掛軸の大敵は湿気です。湿気の多いところに保管していると、シミやカビが発生しやすくなります。桐箱は湿気を吸収する作用があるので、湿気による劣化を防いでくれます。なお、桐箱がないという場合は、プラスチックケースの底に除湿シートを敷いて代用するのも良いでしょう。
掛軸用の防虫香を入れて
掛軸は虫食いの被害にあうことがあります。大切な掛軸を虫食いから守るために、桐箱に入れる際に掛軸用の防虫香を同封しましょう。ここでいう防虫香は、洋服用の防虫剤とは別物です。専用のものが売っていますので、それを利用してください。
掛軸をしまうときは、季節や天候にも注意!
掛軸は湿気に弱いので、雨の日や湿度が高い日に収納するのは避けてください。雨の日や湿度が高い日に行うと、桐箱の中にカビが生えてしまう恐れがあります。よく晴れた乾燥した日に行いましょう。
年に2度ほどは掛軸の「虫干し」を
桐箱は湿気を吸収してはくれますが、長期間入れっぱなしだとさすがに湿気が発生しやすくなります。湿気を抑えるために、年に1度は「虫干し」という作業を行いましょう。掛軸を取り出して床に広げ、エアコンの除湿機能を使って湿気を飛ばします。このとき、エアコンの風が直接当たらないように注意してください。掛軸だけでなく同封されている極め札などもあれば一緒に干しましょう。
掛軸の折れや傷・破損・汚れを防ぐには
湿気や虫食い以外に掛軸に関するトラブルとして多いのが、折れや破損・傷・汚れです。汚れや破損・傷・折れがあると、掛軸の美術品としての価値は下がってしまいます。
掛軸の折れ・破損・傷
掛軸を強く巻きすぎたり落としたりすると、折れや破損・傷が生じやすくなります。掛軸をかけるとき・外して保管するときは十分に注意を。
掛軸の汚れ
手に汚れ(汗や皮脂・化粧品・食べ物・油など)がついたままの状態で掛軸に触ると、当然汚れやシミがつきます。また、長期間飾っておくとホコリが付着して汚れてしまうことも。
一度ついてしまった汚れやシミをご自身で取るのは少し難しいかもしれません。掛軸は繊細な和紙でできているので、無理に汚れをとろうとすると、かえってダメージを与えてしまう恐れがあります。汚れがついたら早めに専門店に相談することをおすすめします。
なお、「おうちに掛軸があるものの手入れや保管に困っている」「飾る場所がないので手放したい」という方は、ぜひ一度買取専門店に相談を。掛軸に関する知識や知見のあるスタッフがいる店であれば、正しい価値を判断できます。物によっては高額な買取が可能なこともあります
また、傷や汚れがついた掛軸であっても、買取が可能な場合が多々あります。捨ててしまうくらいであれば一度査定をして、どの程度の価値があるかを確認してもらいましょう。
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まとめ
美術品として価値の高い掛軸ですが、ゆえに手入れ方法や保管方法にも配慮する必要があります。今回ご紹介した方法を参考にして、末長く良い状態を保てるようにしてくださいね。
また、「掛軸を売却したい」「家にある掛軸の価値を知りたい」という方は、ぜひ一度買取専門店に査定依頼をしてみてください。
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