銀製品のお手入れはなぜ必要?基本の解説&黒ズミの原因・対処法
上品な美しい輝きで古くから愛されてきた銀製品。アクセサリー、食器、カトラリー、コインなど、さまざまなものに使用されている銀ですが、使っているうちに黒ずんできます。放置してしまうと、いつの間にか頑固な黒ズミとなり落ちないことも……。
この記事では、銀製品に黒ズミができないようにするための基本のお手入れの方法と、黒ズミが出来てしまったときの対処方法をご紹介します。お手入れを続けて、お気に入りの銀製品を長く美しく使いましょう。
銀製品とは?
銀の魅力は、なんといっても落ち着いた柔らかい光沢にあります。銀はすべての金属の中でもっとも可視光線の反射率が高く、その輝きは金やプラチナをしのぐほど。
銀は人間が最初期に使用した金属のひとつ。銀が発見されたのは紀元前4000年頃と言われています。柔らかいため加工しやすく、酸化しづらく、サビにくいことから、古来よりさまざまなシーンで銀を使った製品が作られています。
銀製品にお手入れが必要な理由は?
銀製品はなぜお手入れが必要なのでしょうか。理由を解説します。
銀製品は時間とともに黒っぽく変色する
銀は時間の経過とともに硫化水素と反応し、表面に黒い皮膜を作ります。これが黒ズミの原因です。酸化やサビではありません。
硫化水素は硫黄に代表される物質で、温泉などだけではなく空気中や人体のたんぱく質成に含まれるアミノ酸「シスチン」、化粧品や玉ねぎなどにも含まれています。
銀製品の黒ズミは早めにお手入れを!
硫化によって発生した銀の黒ズミを放置すると、さらに空気中の硫化水素と結びついていき、頑固で落ちにくくなってしまいます。皮膜は普通の汚れとは違って水では落とすことができないため、早めに専用のお手入れが必要になります。
黒ズミを防ぐ銀製品の手入れ
銀製品は黒く変色してしまうものですが、適切なお手入れをすれば本来の美しさを保つことができます。ここでは日常の簡単なお手入れ方法をご紹介します。
日常のお手入れ
利用後はぬるま湯で必ず洗う
利用後は必ず銀製品を洗いましょう。水につけ置きは厳禁です。ぬるま湯でよくすすぐと水分の跡が残りにくくなります。洗ったあとはすぐに水気を拭きとりましょう。
皮脂汚れは拭き取る
銀製品に指紋などの皮脂汚れがついている場合は柔らかい布などでよく拭き取りましょう。放置しておくと黒ズミが発生しやすくなります。
ガス調理器具の近くに置かない
ガス調理器具で使用するガスのにおいは、硫黄酸化合物など人工的につけられたもの。ガスが燃焼すると硫黄酸化合物が微量に発生するため、銀の黒ズミの原因になります。ガス調理器具の近くに銀製品を置くことは控えましょう。
輪ゴムで銀製品をくくらない
輪ゴムなどのゴム製品(合成ゴムも含む)は、ゴムの伸縮性をよくするために硫黄化合物が添加されています。銀製品を輪ゴムなどでくくることはやめましょう。
保管する際のポイント
銀製品を保管する際は、黒ズミを防ぐためになるべく空気に触れないようにするのがポイントです。クッキングペーパーや柔らかい布に包んでジップ付ビニール袋など密閉性の高い袋に入れておきましょう。その際、乾燥剤を一緒に入れておくと高い効果が期待できます。
銀製品の洗い方・拭き方
銀製品を洗うときは、どんなに汚れていても漂白剤は使わないようにしましょう。強い薬剤を使用すると変色やツヤを損なう原因となります。
食洗機の使用は控えるのが無難です。食洗機用の洗剤で食器にシミが付着したり、別の食器と当たって傷ができたりすることがあります。
洗ったあとは仕上げに必ず柔らかい布や専用のクリーナーで乾拭きをしましょう。
黒ずんだ銀製品をキレイにするお手入れの方法
黒ズミができてしまった銀製品をきれいにする方法はあるのでしょうか。黒ズミ具合と銀製品の量にあわせたお手入れ方法をご紹介します。
銀製品専用のクリーナーやクロスを使う
黒ずんでしまった銀製品が少ない場合、専用アイテムを使ってお手入れをします。銀磨き専用クリーナーにはペースト状や液体状のもの、アクセサリー専用のクロスなどさまざまな種類があるので、用途に合ったものを探してみましょう。
中性洗剤を使う
中性洗剤を使うと、皮脂などと一緒に多少の黒ズミを落とすことができます。力を入れずに優しく磨くことがポイント。洗ったあとはぬるま湯で流し、よく乾かしましょう。
酢酸を利用する
酢酸は酸性のため、皮脂汚れなどのアルカリ性の汚れを除去する効果があります。やり方は、銀製品をお酢などの酢酸を含むものにしばらく浸すだけ。酸味料が含まれた無糖の炭酸水でも代用可能です。浸した後は丁寧に水で流し、柔らかい布で拭きましょう。宝石など他の素材がついたものを長時間浸すと破損する恐れがあるため注意が必要です。
重曹を利用する
掃除にもよく使われる重曹は、銀製品のお手入れにもぴったりです。まず、銀製品が浸かるほどのお湯と重曹を3:1の割合で用意します。
プラスチック容器にアルミホイルを敷き、銀製品を並べます。容器にお湯を注ぎ、銀製品全体にかかるように重曹を振りかけます。必要に応じて銀製品の向きを変えるなどして、全体に重曹水がかかるようにしましょう。黒ズミが落ちたら水洗いし優しく布で拭いてください。アルミホイルには化学反応で黒ズミの原因である硫黄が付着してくれるため、必ず敷くようにしましょう。
塩を利用する
身近にある塩でも銀製品の黒ズミを落とすことができます。鍋にアルミホイルを敷き、銀製品を置きます。銀製品が浸かるくらいの水と塩を5:1程度の割合で入れ数分間煮込みます。黒ズミが取れたら水洗いし、布で拭きましょう。塩を多く使うため、小さい鍋を使うのがおすすめです。
歯磨き粉を利用する
歯磨き粉に入っている研磨剤を利用し、黒ズミを削り取る方法です。銀製品に直接歯磨き粉を少量付けて磨くだけ。銀製品に傷がつく恐れがあるため、様子をみながら磨きましょう。終わったら水でよく洗い流し、乾かします。
乳製品に付ける
牛乳やヨーグルトなどの乳製品に含まれる乳糖には黒ズミを分解してくれる作用があります。銀製品に直接つけて、布などで磨きます。その後は水でよく流し、乾燥させましょう。
超音波洗浄機を使う
プロの現場でも用いられるのが超音波洗浄機です。水や溶剤を超音波で振動させ、気泡によって細かい部分の黒ズミを落とします。家庭用の超音波洗浄機は数千円程度の価格帯からありますので、銀製品をたくさんお持ちの方におすすめです。宝石がついたアクセサリーには使用できない場合もあります。
黒ズミが取れない銀製品は?買取業者に依頼
どうしても黒ズミが取れない銀製品をお持ちで、手放すことを検討している場合、ただ捨ててしまうのではなく業者に買取を依頼するのがおすすめです。少しでも高く買い取ってもらうために、どのようにすればよいのでしょうか。
購入したメーカー・店舗に修理を依頼
黒ずんだ銀製品の買取を依頼する前に、まずは購入したメーカーや店舗に修理を相談しましょう。少しでもいい状態で査定してもらうと、査定額が上がることも。自分で手入れをすると、傷をつけて価値を損ねてしまう恐れがあるので気を付けましょう。
骨董品の買取店に依頼する。作家による作品は高額になることも
銀製品の美術品や骨董品はコレクターが多いアイテムの一つです。有名ブランドのシルバーアクセサリーや、記念硬貨や銀貨、有名作家の制作した美術品や骨董品などで高額買取が期待できます。
買取相場としては、ブランド物のカトラリーセット一式であれば10万円ほど、ブランド不明なティーセットであっても数万円になることも。北大路魯山人が制作した銀製の花器は100万円以上で取引されたこともあります。
買取店を選ぶ際のポイント
銀製品を買取店に出す際には以下のポイントに注意しましょう。
専門スタッフがいるかどうか
銀製品は型に流し込むだけで製造できてしまうことから、本物かどうかの見極めが難しいとされています。銀製品に精通した専門スタッフがいない買取店だと、本物か偽物かの区別をつけられず買取拒否をしたり、正しい価値を判断できずに安い価格で買い取られたりする場合があります。専門スタッフがいるお店に相談するのがおすすめです。
銀製品の買取実績のある業者かどうか
銀製品の買取実績が多い業者の場合は、過去の利用者が多いということですから、安心して査定をお願いすることができます。また、売却ルートを持っているため、高く買取してくれる可能性が高まります。
出張買取や出張鑑定会などを実施しているかどうか
出張買取や出張鑑定会などを実施している業者であれば、わざわざお店まで出向く必要がないため気軽に依頼することができます。相談・見積もり・査定・出張費・買取手数料がすべて無料の業者もあります。
銀製品高額買取
まとめ
銀製品は、上品な輝きで古くから多くの人々に長く愛され続けています。お気に入りの銀製品が黒ずんでしまっても大丈夫。簡単にお手入れができますので、この記事を参考にお手入れをしながら大切に使用していきましょう。
古美術八光堂では、銀製品の買取を行っています。専門の鑑定士がいますので、価値を正しく判断し、適正な査定額をつけることができます。ご自宅に不要な銀製品がある方は、ぜひご相談ください。
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