漆器の美しさを保つ方法は?手入れ・保管の基本を詳しく解説
漆器は独特なツヤが美しい食器。古くから日本人の日常生活の道具として使われてきました。英語で「JAPAN」と呼ばれる漆器は、日本独自の食器として世界中の人々を魅了し続けています。特別なときに使うものと思われがちな漆器ですが、実は日常的に使用した方が、ツヤが出て美しくなります。せっかく買ったもののお手入れの仕方がよく分からない方や、手入れ方法が難しそうだから購入できない方もいらっしゃるはず。そんな方のためにこの記事では、漆器の魅力と美しさを長く維持するための洗い方を始めとしたお手入れ・保管の方法までを詳しく解説していきます。
漆器とは?
漆器とは、ウルシの木から採れる樹液を加工した「漆」を、器の原型となる「素地(きじ)」に塗り重ねて作った器のこと。漆器の歴史は古く、日本で最古の漆器は縄文時代のものといわれています。耐久性・断水性・断熱性・防腐性が非常に高くどんな材質にも活用でき、さらに見た目も美しいことから長きにわたり受け継がれています。
漆器は非常に長い時間と手間をかけて作られます。まず全て天然素材で作られているため、ウルシの木を育てるところから始めた場合、原材料が揃うのは100年後。そこから漆器を制作していきますが、漆を塗る工程は最低でも4~5回、多いものだと50回以上塗り重ねることも。また漆の塗膜は一度固まったあとさらに数年かけて硬化していきます。漆が完全に固まるのは作ってから100年後ともいわれています。
漆器のお手入れは必要?
漆器は手入れが難しいと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、ポイントを押さえれば簡単です。しかし漆器の特性を理解せず雑に扱い、保管方法が不十分の場合、漆器がダメージを受けてサビや破損の原因に繋がってしまいます。丁寧に使えば使うほど、味わい深いツヤが出て長く使うことが漆器の魅力です。
漆器の美しさを維持するお手入れと保管方法
漆器の美しさを維持するために、どのようにお手入れや保管をすればいいのでしょうか。具体的な方法をご説明します。
漆器の洗い方と拭き方
漆器を洗うときは他の器にぶつけないようにしながら、台所用中性洗剤と柔らかいスポンジを使用します。
頑固な汚れは5~10分ほどお湯か水に浸けてから洗います。長時間浸けておくと剥がれたり変形したりする恐れがあるので注意が必要です。
洗ったあとはすぐに柔らかい布で水分を拭きましょう。重箱の隅やお椀の底など水が溜まりやすいところまで念入りに拭きます。このようにして日々丁寧にお手入れをすると、使い続けるほどに漆の塗膜には美しいツヤが出てきます。
漆器の保管方法
漆器は紫外線に弱いもの。保管する際は直射日光が当たらない食器棚に収納します。重ねて収納する際は傷がつかないように器の間に布や紙、ティッシュペーパーなどを挟みます。
長く保管する場合は破損と極端な乾燥・湿気に注意。柔らかい布で包んで箱に入れてしまうと安心です。食器棚で長期保管する場合、少し水の入ったコップなどを置いて乾燥しすぎないようにしましょう。しかし漆器自体が濡れたままだとカビの原因になるので、必ず水気は拭いてください。
漆器のお手入れの注意点
漆器をお手入れする際には以下のポイントに注意してください。
たわしなどは使わない
漆は柔らかい素材のため、たわしなどで力を入れて洗うと傷の原因となる場合も。
熱湯は使わない
ぬるま湯程度なら問題ありませんが、熱湯を使うと漆が変色してしまう可能性があります。
研磨剤入りの洗剤は避ける
研磨剤入りの洗剤は擦り傷の原因となります。
長時間の浸け置きは避ける
長時間水に浸けておくと木地にまで水分が浸透し、器の歪みや割れの原因となります。
自然乾燥は避ける
漆は過度の湿気を嫌うため、長時間濡れた状態にすることはおすすめできません。自然乾燥は避けてすぐに布で拭いてあげましょう。
漆器にカビが付いた場合の対処方法
漆器にカビが付いた場合の対処方法について以下の内容を参考にしてください。
白カビの場合
白カビが生えてしまった場合は消毒液を含ませたガーゼなどで拭き取り、きれいに洗えばまた使用することができます。
青・黒カビの場合
青カビ・黒カビの場合は器の繊維に入り込んでいるため、一度発生してしまうと残念ながら落とすことができません。長期保管する場合はときどき戸棚から出して陰干しするなど、メンテナンスをしてカビを予防しましょう。
漆器を使用する際のよくある質問
日常生活で漆器を使う場合によくある質問をまとめました。
Q1.熱い汁を入れてもよい?
突然沸騰した直後の熱湯を注ぐと、漆の塗りが白く変色してしまう場合があります。急な温度変化を防ぐため、一度ぬるま湯などを注いで器自体を温めてから使うと安心です。
Q2.電子レンジに入れてもよい?
漆器は電子レンジで使用することはできません。漆器に含まれる微量の水分が熱せられ、変形の原因となります。また、直火やオーブンもNGです。
Q3.食洗器を使ってもよい?
食洗機用の洗剤は非常に強い成分のものや研磨剤を使用しているものも多いため、使用しないほうが良いでしょう。食器用乾燥機も器を変形させてしまう可能性があります。
Q4.酢や揚げ物を盛ってもよい?
漆は酸・アルカリに強いため、酢の物の盛り付けは問題ありません。揚げ物も大丈夫ですが、揚げたてで温度が高いものは器の色が変わってしまうことがあります。揚げ物を盛りつけるときはキッチンペーパーなどで油を吸わせてから盛り付けると良いでしょう。
Q5.盛り付けるのを避けた方がよい食べ物は?
100度を超えるような高温の料理は変色を防ぐために避けましょう。それ以外はどんなものでも盛り付けられます。
Q6.漆でかぶれることはありますか?
完全に固まった漆はお子様でも安心して使用できます。しかし、塗りから日が浅いものや、使う人の体質に合わなかった場合、ごくまれに漆でかぶれてしまうことがあります。万一異常を感じた場合は、すぐに病院に相談しましょう。
Q7.漆のニオイを取る方法は?
箱に入れた状態で保管されていた漆器は、漆のニオイがこもっている場合があります。一度ぬるま湯などで洗い、日光が当たらない風通しの良い場所で陰干しをしておくと早くニオイを取ることができます。
カビや破損で使えなくなったときは?買取業者に依頼
カビが生えたり破損したりしている漆器をお持ちではありませんか? 買取店の中には産地不明のもの、カビや汚れなどで使えなくなった漆器でも買取をしてくれるところもありますので、捨てる前に相談してみましょう。
漆器を購入したメーカー・店舗に修理を依頼
まずは漆器を購入したメーカーや店舗に修理ができるか確認してみましょう。売却するにしても、きれいな状態で査定してもらった方が高く買取してくれる可能性が高くなります。自分で手入れをしようとすると価値を損ねてしまう恐れもあるため、まずは購入したメーカーや店舗に相談しましょう。
骨董品の買取店に依頼する。作家による作品は高額になることも
漆器の売却を検討している場合、骨董品の買取店に依頼をするのがおすすめです。カビや破損があったとしても、作家によっては高額になる可能性もあります。
例えば、柳澤一抱の作品は数十万円以上、平安象彦の作品であれば数万円から数十万円の値がつくものも。無名作家の作品であっても質のよいものであれば数万円で取引されている漆器もあります。
買取店を選ぶ際のポイント
専門スタッフがいるかどうか
漆器の価値は主に、「有名産地のもの」「有名作家のもの」「天然素材のもの」の3点で判断されます。しかし素人が正しく見極めるのは難しく、買取相場も幅も非常に広くなっているため、熟練した専門スタッフがいない買取店だと安い価格で買い取られてしまう場合があります。漆器の正しい価値を判断できる専門スタッフがいるお店に相談するのがおすすめです。
漆器の買取実績のある業者かどうか
漆器の買取実績が多い業者の場合は独自の売却ルートを持っているため高く売却できる可能性が高まります。欲しい人に橋渡しをしてくれる業者にお願いしましょう。また買取実績が多い業者は利用者も多いということなので、安心して査定してもらうことができます。
出張買取や出張鑑定会などを実施しているかどうか
出張買取や出張鑑定会などを実施している業者であれば、わざわざお店まで出向く必要がないため気軽に依頼することができます。相談・見積もり・査定・出張費・買取手数料がすべて無料の業者もあります。クーリングオフが適応される業者、現金買取が可能な業者など、ご希望に合った業者にお願いしましょう。
漆器高額買取
まとめ
漆器は愛情を持って使い続けるほどに独特のツヤが出てきて、あなただけの唯一無二の食器となります。
お手入れ方法も難しいと思われがちですが、高温のもの、過度の湿気や乾燥した環境など、人間が不快に感じる環境を嫌がります。共に暮らす大切な道具として考えると、愛着も湧いてくるはずです。
もし不要な漆器をお持ちの方は、骨董品の買取業者に相談しましょう。古美術八光堂では、漆器の買取を行っています。専門の鑑定士がいますので、価値を正しく判断し、適正な査定額をつけることができます。ご自宅に不要な漆器がある方は、ぜひご相談ください。
漆器高額買取