茶道具の手入れを種類別に解説!劣化した茶道具は買取店に相談を
日本の伝統文化のひとつ、お茶。お茶に使われる茶道具をお持ちの方は多いのではないでしょうか。しかし、そのお手入れや保管方法を正しく行えていますか?茶道具を良い状態で長持ちさせるためには、日頃のお手入れや正しい方法での保管が重要です。そこで今回は、茶道具の日常手入れや保管方法についてご紹介します。あわせて、不要な茶道具をお持ちの方にむけて茶道具の買取についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
茶道具とは?
まずは、「茶道具とはどのようなものを指すのか」についてご紹介します。
茶道具の分類
茶道具とは、茶道に用いる道具の総称です。用途ごとに大きく5つに分類されます。
・天茶用具:茶杓(ちゃしゃく)・釜・茶入れ・茶筅(ちゃせん)茶碗・など
・懐石用具:折敷(おしき)・四つ碗など
・水屋用具:水桶など
・待合用具:円座など
この記事では、茶道具の中でもお茶を入れる際に用いられる天茶用具にあたる、茶杓や釜・茶筅・茶碗のお手入れと保管方法をメインに解説していきます。
茶道とは何か?
茶道具を知るにあたって、まずは茶道についての基礎知識を知っておきましょう。
茶道とは、簡単にいえば「お茶を楽しむための作法や流儀」を指します。室町時代に茶道の祖として知られる千利休によって侘茶が確立されて以降、現在までさまざまな流派が受け継がれています。
また、茶道は禅宗とも深い関わりがあります。みなさんもきっと知っている「わび・さび」という言葉は禅宗の教えのひとつですが、茶道においてもこの精神を非常に重要視しています。茶室という静かで清らかな空間で茶をたてることに集中し、心を落ち着かせたり自分自身を見直したりするのです。
茶道具のお手入れが必要な理由は?
一般に流通している食器や調理器具は、特別な手入れを必要としないものがほとんどです。しかし、茶道具の場合、適切な方法で手入れ・保管をしないとカビやシミなどが発生してしまうことも。特に、昔ながらの素材や製造方法で作られたものは、正しい手入れと保管が重要になります。
種類別!茶道具の手入れ・保管方法
茶道具を美しい状態で長持ちさせるためには、適切なお手入れ・保管がカギ。種類別の手入れ方法と保管方法をご紹介します。
茶碗
手入れの方法
茶碗は茶道具の中でも汚れやすいアイテムです。というのも、茶碗の表面には目には見えない小さな穴がたくさん空いているからです。一見きれいなように見えても、茶や唾液などが染み込んでいる恐れがあるのです。茶碗を洗う際は、たらいなどにぬるま湯を張り、丁寧に汚れを落としていきましょう。スポンジやタワシを使うと表面を傷つける恐れがありますので、布巾を使うことをおすすめします。また、洗剤は用いないほうが良いでしょう。これは、洗剤が表面の穴から茶碗の内部に入りこむのを避けるためです。
保管方法
コップやマグカップであれば表面の水気さえ乾けば十分ですが、前述したように茶碗は表面に微細な穴がたくさん空いているため、内部に入り込んだ水分はなかなか乾きません。洗い終わった茶碗は、最低でも5日間は乾燥させてください。乾燥を怠ると、カビが生える原因になってしまいます。
乾燥が済んだら、乾いた布でくるんでから桐箱に入れて保管します。桐箱に入れることで湿気がつくのを予防できます。
茶杓
手入れの方法
茶杓とは、抹茶をいれるときに抹茶を容器からすくって茶碗に入れるための道具です。茶杓の多くは竹で作られているので、水洗いすると変形しやすくなります。汚れがついたときは、柔らかい布やティッシュペーパーで拭き取るようにして、なるべく水に触れないようにしましょう。
保管方法
手入れをした後の茶杓は、適度に湿度のある場所で陰干しを。直射日光があたる場所や極端に乾燥している場所で保管すると、割れたり変色したりする恐れがあります。
茶筅
手入れの方法
茶筅とは、抹茶をいれるときに茶をかき回して泡を立てる道具です。複雑な構造をしているので、慎重に扱わないと形が崩れてしまいます。
洗うときは、ぬるま湯を張ったボウルやたらいに入れて、振りながらすすぎます。汚れが落ちない場合は、手でやさしく擦って落としてください。
保管方法
洗い終わった茶筅は、しっかりと乾燥させましょう。竹製品ですので水気が残っているとカビが生えやすくなります。乾燥しおわったら、通気性がよく直射日光が当たらない場所で保管を。なお、穂先がすぼまるのを防ぎたい場合は、「茶筅休め」という専用の道具に挿しておきましょう。
竹茶器
手入れの方法
竹で作られている茶器は、割れや虫食い・カビが発生しやすいという特徴があります。特に湿気に弱く、若いうちの竹茶器は梅雨時期や雨が続く時期にトラブルが起きやすくなります。カビを発見した場合は、カビのついているところをタワシなどで軽くこすった後、濡れ雑巾で拭き取ってください。その後は乾くまでしっかり陰干しを。
保管方法
使用しないときは新聞紙やハトロン紙などでくるみ、紙箱に収納してください。虫食いを防止するには、一緒に防虫剤を同封すると良いでしょう。保管場所は、直射日光の当たらない場所を選びましょう。
釜
手入れの方法
釜とは、茶に使用するお湯を沸かすための道具です。釜を使用した後は、ぬるま湯で軽く洗って表面や底についた灰や湯垢をしっかり落としましょう。
保管方法
釜を保管するときは、釜肌が他の何かに触れないように注意してください。保管場所は湿気の少なく風通しの良い場所が最適です。
漆器
手入れの方法
漆器とは、漆の樹液を塗料として塗り込んだ器のことを指します。漆器を洗浄するときは、たらいにぬるま湯を張り、1時間程度つけておきましょう。その後、柔らかい布またはガーゼでやさしく拭いて汚れを落とします。洗った後はしっかり乾燥を。湿気の残った状態で放置すると、カビが生えてしまうことがあります。
保管方法
漆器は耐久性が高い一方、紫外線に弱いという特徴があります。保管する際は直射日光が当たらない・風通しの良い場所を選びましょう。
花はさみ
手入れの方法
花はさみとは、その名の通り草花をカットするときに使うはさみのことです。一般的な花はさみは、工作用のものと違って防錆加工が施してありません。そのため、汚れや水分がついたままにしておくと錆び付いて切れ味が悪くなってしまいます。使い終わった後は濡れた布で刃先を拭き、乾いた布で水分をとりましょう。
保管方法
水分がつくと錆びやすくなるので、湿度の高い場所に保管するのは避けましょう。
掛軸
手入れの方法
茶道具のお手入れ方法なのに「掛軸?」と思われた方もいるかもしれませんが、掛軸も茶道具のひとつです。掛軸をかけておく場合は、1ヶ月に1回程度、毛ばたきを使ってほこりを払うと綺麗に保つことができます。また、年に2回ほど、「虫干し」という掛軸を干す作業を行いましょう。
保管方法
掛軸をしまう場合は、毛ばたきでほこりを落とし、半日ほど陰干しを。その後、丁寧に巻いて箱におさめて保管しましょう。保管場所は直射日光の当たらない、風通しの良い場所が最適です。
※掛け軸の手入れ方法や保管方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
関連記事:掛軸の正しい保管方法・手入れ方法とは?
劣化した茶道具は?処分する前に検討したい方法
「手元にある茶道具が劣化してきた」「使わない」といった理由で処分を考えている方もいるのではないでしょうか。でも茶道具には価値の高いものも多く、捨ててしまうのはもったいないケースも多々あります。まずは処分してしまう前に、修理に出すか、買取専門店に売却の相談をしてみてはいかがでしょうか。
購入したメーカー・店舗に修理を依頼
「茶道具が劣化してしまった」「壊れて使えなくなってしまった」という場合は、茶道具のメーカーや店舗・販売元に修理できるかどうか相談してみましょう。ケースバイケースではありますが、きれいに修繕してくれたり壊れたところの部品だけを替えてくれたりすることもあります。
骨董品の買取店に相談
「使っていない茶道具がある」「相続で茶道具を手に入れたが使わないので売却したい」といった場合は、骨董品の買取店に査定依頼をしてみましょう。ものによっては思わぬ希少価値があり、高額で買取してもらえる可能性もあります。
例えば、作家物の茶道具の場合、10万円〜50万円ほどの値段がつきます。年代が古いものや著名な作家のものであれば、100万円を超える価格がつくことも。茶道具の相場価格は買取店によって大きく異なることがありますが、処分する前に一度査定をしてもらう価値はあるのではないでしょうか。
買取店を選ぶポイント
茶道具の専門スタッフがいるかどうか
買取業者を選ぶ際は、茶道具の専門スタッフがいる業者を選びましょう。茶道具の査定には、茶道具に関するさまざまな知識が必要です。本当の価値は、精通している人でないと気づかないことも。知識豊富で経験を積んだスタッフのいる業者なら、正しい価値を判断し、適正な査定額を出してくれるはずです。
茶道具買取の実績のある業者かどうか
茶道具に関する買取実績があるかどうかも、重要なポイントです。実績が豊富な業者というのは、流通経路や販売経路を確保できているということ。それだけ高額での買取も期待できます。公式サイトを見て、過去にどういった品を取り扱っているのかをチェックしてみてください。
出張買取や出張鑑定会などを実施しているかどうか
「茶道具をわざわざ遠くの買取店まで持っていくのが面倒」という方は多いかと思います。移動中の破損や割れ・紛失・盗難なども心配です。出張買取や出張鑑定会を実施している業者であれば、その手間や時間も軽減でき、破損や紛失などのトラブルも避けられます。
陶器高額買取
▶茶道具を修理したい、またはキズを付けたくないのでどこかで保管したいという方は美術品修復・保管サービスもご利用いただけます。
美術品修復・保管サービス
まとめ
日本の伝統文化、茶道に用いる茶道具。コレクションとしても人気が高く、世界中に愛好者がたくさんいます。しかし茶道具はとてもデリケートなのも事実。温度変化や湿気・乾燥・直射日光に反応しやすく、ひびやシミ・カビなどが発生してしまうこともあります。茶道具を長く良いコンディションで保つためには、日頃から保管状態をよく丁寧に扱っておくことが大事です。ぜひ今回ご紹介した方法を参考にしてくださいね。なお、不要な茶道具をお持ちの方は、ぜひ買取専門店に査定依頼をしてみてください。
茶道具高額買取