希少な素材・象牙の鑑定方法とは?現在の価値や買取相場についても解説
象牙(ぞうげ)とは、象の牙を加工したもののこと。つるつるとした手触りと、使えば使うほど美しい飴色に変わっていくのが特長です。日本でも古くから歴史的・文化的に愛されており、根付、印籠、櫛、箸などの日常生活品や、印鑑、和楽器、置物、彫刻などに加工されてきました。
しかし乱獲により数が減少してしまったため、象牙は現在輸入が原則禁止とされています。それにより全形を保有した象牙や加工品の価値は上昇しており、インド象の象牙は幻の素材と呼ばれているほど希少価値が高いものとなっています。この記事では、象牙はどのようなものなのか詳しく説明しながら、鑑定方法や価値、相場についても紹介していきます。
象牙とは?
象牙の概要
象牙とは象の上顎から生えている歯のこと。通常「牙」と呼ばれる歯は犬歯が発達したものですが、象の場合は門歯が発達したもので、厳密には牙ではありません。しかし牙のように見えるので「象牙」と呼ばれています。象牙の主成分はカルシウム。弾力性と粘りがあり彫刻に最適な硬さと縞模様で美しいため、古くから芸術品や工芸品に使用されてきました。象牙が使われている加工品には下記のようなものがあります。
根付
布袋、七福神
香炉
香合
ビリヤード玉
仏像
麻雀牌
象牙の種類
象牙は象の種類や部位によって硬さが変わってきます。それぞれの違いについてご紹介します。
象の種類
象牙は象の種類によって特徴や価値が異なります。アフリカ象、インド象、アジア象から採取できますが、中でもインド象の象牙は最高級品とされています。なぜならインド象は他の象に比べて牙が小さいため、象牙の密度・硬度が高く、丈夫で美しい素材だからです。また採れる量も少ないため現在ではほとんど流通しておらず、「幻の象牙」と呼ばれています。
牙の硬さ
現在流通している象牙の多くはアフリカ象のものです。アフリカは広く象の生息する地域によって食べ物や環境が大きく違うため、同じアフリカ象でも生息地によって象牙の硬度が変わります。
中央アフリカで採取される象牙は硬く「ハードタイプ」と呼ばれており、少しピンク色をしたアイボリーなのが特徴。一方、南部アフリカで採取される象牙は「ソフトタイプ」と呼ばれており、白に近い色合いをしています。
牙の部位
同じ象から採れた象牙でも部位によって価値が異なります。「芯」と呼ばれる中心部に近いほど密度が高く硬いため、目が細かく美しいとされて高く評価されています。断面は年輪のような縞模様のグラデーションを描いており、部位によって違った模様を楽しむことができます。
牙の加工具合
象牙は印鑑や置物など多くのものに加工されており、製品の人気によっても価値が左右されます。印鑑や七福神の置物、アクセサリーなどが人気です。
本物と偽物を見分ける方法。プロの鑑定方法も
象牙は希少なため、偽物も多く出回っています。本物と偽物を区別するのは難しいものですが、一般の方にも分かりやすい見分けるポイントをご紹介します。
本物の象牙と偽物の象牙の違いとは?
本物は象の体の一部であり、カルシウムが主成分。生物由来のため同じものが二つとない自然な縞模様と色合い、独特の質感・ツヤを持っています。一方偽物はレジンや大理石の粉末など、さまざまな素材を混ぜ合わせて制作されています。本物に比べて偽物は色合いや質感・ツヤが人工的で不自然に感じられます。
本物と偽物を自分で見分ける方法
一般の方でも分かる簡単な見分け方をご紹介します。まずはこの方法で確認してみましょう。
縞模様を確認する
象牙には独特の縞模様があります。人工的に模様をつけた偽物は、本物に比べて無機質で均一な模様になっていたり、縞模様自体が無かったりします。
ヒビや欠け、汚れを確認する
象牙は生物由来の素材のため、年月が経過するとヒビや欠けの発生や、黄色く変色することがあります。きれいすぎるものであれば偽物の可能性があります。
光の透過を確認する
象牙は硬いカルシウムが規則正しくならんだ構造でできており、光にかざすと格子状に透けて見えます。偽物の象牙に多く使われているセラミックやレジンは光を通しにくい素材のため、光を通さないか、格子模様には透けません。
空洞の有無
象牙が全形を保持している場合、本物は根元から先端にむかう3分の1くらいが空洞になっています。偽物は空洞が無いか浅い空洞です。ただし本物であっても詰め物や蓋がされているものもあるのでしっかりと確認しましょう。
鑑定のプロが行う象牙の鑑定方法は?
プロの鑑定士が確認する場合、上記のほかに比重から見分けることもあります。偽物は本物に比べて少しだけ軽くなっています。ほかにも特徴的な色合いと細工の精密さを確認します。本物の象牙は硬いため精巧な加工が可能ですが、偽物は柔らかいものが多く加工がしにくくなっており、全体的に彫りが浅い印象です。
象牙は売れる?象牙の価値と買取相場
象牙は希少なため、全体的に高く売れる傾向にあります。中でも高く売れる象牙はどのようなものなのか、買取相場も併せてご紹介していきます。
査定の評価が高い象牙の特徴
象の種類
象の種類によって査定額が変わってきます。とくにインド象は最高級品。牙の大きさが小さいため、なかなか手に入れることができません。
牙の硬さ
象牙によって硬さもさまざま。硬いものほど高値で取引されています。
牙の部位
芯と呼ばれる牙の中心部に近い方が高値で取引されています。
牙の重さ
「一本牙」という全形を保持した象牙の場合は、重さ×1kgの単価で価値が決まります
象牙の買取相場
全形を保持している一本牙の場合、重さ×1kgの単価で価値が決まります。象牙の加工品は置物が人気で、1つ数十万円の高値がつくものも。小物でも高値がつくケースがあり、印鑑が8000円で買い取りされたこともあります。
なお、象牙及び象牙製品はワシントン条約や法律で国際取引が制限されています。最近では、この影響によって象牙全体の相場が下降傾向にあります。観賞用としてご使用されない場合は、登録票をご確認の上、お早目の売却をおすすめします。
価値が分からない、劣化しているときは買取店へ
象牙の価値がわからない、または劣化しているときは、廃棄するのではなく買取店を利用するのがおすすめです。その理由と買取店を選ぶ際のポイントについてご紹介します。
象牙の鑑定は素人では難しい
象牙が本物かどうか判断するポイントをご紹介してきましたが、素人では全ての品物を確実に判断することは困難なもの。最近では本物そっくりに作られた精巧な偽物も多く流通しているため注意が必要です。価値が分からないものは買取専門店に相談してみることをおすすめします。
買取店を選ぶ際のポイント
象牙の買取店を選ぶ際のポイントとしては以下が挙げられます。
象牙の買取実績が豊富
買取実績が豊富な業者の場合は高く売却できるルートを持っています。また、たくさんの象牙を買取してきたことで審美眼が養われています。
象牙に詳しい鑑定士がいる
象牙は象の種類や部位によって価値が大きく異なります。専門の鑑定士がいるところであれば、きちんと査定してくれるので安心です。
フロントや電話での対応が丁寧
フロントや電話での対応が丁寧な会社は、きめ細かいサービスで品物も丁寧に扱ってくれます。不明な点は気軽に確認しやすいため、安心して利用することができます。
メディアにも露出があり元会社がしっかりしている
メディアに露出経験がある業者は、豊富な知識と経験を持っていることがメディアから保証されているといえるでしょう。また、元会社がしっかりしている会社は社会的にも安心してお願いすることが出来ます。
アフターフォローに関しての記述がHPにある
貴重な象牙ですから、売却したあとに後悔してしまうことがあるかもしれません。クーリングオフが適用されるなど、アフターフォローがしっかりしていることがわかると安心です。何か疑問点があれば気軽に相談をすることもできます。
象牙高額買取
象牙の売買の注意点
現在、象牙を売買する上で注意すべき点があります。日本での象牙の輸入の多くはアフリカ諸国からのものでした。しかし、アフリカ象は密猟と象牙の違法取引により絶滅の危機に陥ってしまいます。そのため、象牙の国際取引はワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引に関する条約)の下、1990年に原則禁止となります。
日本ではワシントン条約の実効性を高めるため、1992年に「種の保存法」を制定。違法な象牙の国内取引を防止する管理制度を創設しました。こうした取り組みがあり、1999年・2009年には、絶滅の恐れの少ない個体群と位置付けられたアフリカ象のうち、自然死した個体などから集められた象牙が日本に輸入されました。これらの象牙については種の保存法に基づく登録等の手続きが行われ、国内における取引も厳格に管理されています。
種の保存法では、新たに生牙(原木)・磨牙・彫牙・全形を保持した象牙を売買することは原則禁止とされています。しかしワシントン条約で規制される前に取得したものであれば「登録」した上で所持・売買することは可能です。もしオークションサイトなどで売買を行う場合は、登録番号を示した上、登録票と共に売買を行います。
また象牙製品全般を取り扱う業者についても登録制となりました。5年ごとの審査と更新が必要で、買取業者が厳正に管理されています。これは購入する側にとっても安心感を高めるシステムだといえます。
象牙製品を持つ人は必ず登録が必要です。不要になった象牙を家族や友人にあげるなどの場合にも行うべき手続きとなります。
象牙の登録方法
規制前に取得した全形を保持した象牙(生牙(原木)、磨牙、彫牙)の保持・売買には登録票が必要です。以下の方法で登録票を取得しましょう。
登録までのステップ
2.必要書類の準備と送付
3.登録票が自宅に届く
登録に必要な書類
・象牙の画像(識別が可能な鮮明なカラー写真)
・自己申告書(象牙を取得した経緯など)
・身分証明書のコピー
・購入当時の領収書などの取得経緯の裏付け書類
なお、2019年7月より規制が厳格化され、登録票の取得には「第三者の証言」が必要になりました。登録方法や必要書類の詳細は以下のURLよりご確認ください。
まとめ
象牙は独特なツヤを持ち、古くから世界中で愛され続けてきました。希少な素材であるため、近年ではどんどん価値が上がり続けています。使えば使うほど飴色に美しく輝く象牙を長く大切に使いたいものですね。
価値の分からない象牙をお持ちの方や処分を考えている方は、古美術八光堂で一度査定してみてはいかがでしょうか。専門知識と経験豊富なスタッフが丁寧に鑑定いたします。汚れや傷があっても高値で取引されているものもあります。ぜひお気軽にご相談ください。
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