象牙を相続するときはどうすればいいの?注意点や登録方法、買取相場も
象牙(ぞうげ)は象の牙を加工したもののこと。つるつるとした手触りと独特な美しい乳白色で、古くから愛されてきた素材です。しかし乱獲によりアフリカ象が絶滅の危機に瀕してしまい、象牙は現在ワシントン条約に基づき輸入禁止とされています。日本でも「種の保存法」が制定され、違法な象牙の国内取引を防止しています。ワシントン条約以前に取得した象牙を所有する場合は登録が必要となります。
このように現在は象牙の扱いは厳しく管理されていますが、相続することになった場合はどのように手続きをすれば良いのでしょうか。この記事では、象牙を相続するときの登録方法や注意点、手放す場合の買取相場についても詳しく説明していきます。
象牙とは?種類と価値
象牙の概要と種類
象牙とは、象の上顎(うわあご)から生えている歯のこと。通常は犬歯が「牙」と呼ばれますが、象牙の場合は門歯が発達したものです。象牙はカルシウムを主成分としており、弾力性と粘り、硬さが彫刻に最適なため、古くから芸術品や工芸品に使用されてきました。置物、根付、七福神、香炉、香合、ビリヤード玉、仏像、麻雀牌などのさまざまな製品が作られています。
象牙って価値があるの?
象牙は希少価値が高く、全体的に高額で査定される傾向があります。その中でも象の種類、象牙の硬さと部位によって価値が変わってきます。象牙はアフリカ象・インド象・アジア象から採取することができますが、現在流通している多くはアフリカ象の象牙です。同じアフリカ象でも生息地によって硬さが違う「ハードタイプ」と「ソフトタイプ」に分けられています。一般的にハードタイプの方が価値が高いとされています。
また、象の中でも牙が小さく密度・硬度が高いインド象の象牙が最高級品とされています。現在ではほとんど流通しておらず、「幻の象牙」と呼ばれています。さらに「芯」と呼ばれる中心部に近いほうが硬いため、高値で取引されています。全形を保持した「一本牙」と呼ばれる象牙も希少価値が高く、重さ×1kgの単価で査定をされます。
象牙の相続は違法なの?罰則は?
象牙の売買は違法。相続は?
象牙はとても人気の素材のため、過去には密猟と違法取引により、アフリカ象が絶滅の危機に陥ってしまいました。そのため象牙の国際取引はワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引に関する条約)のもと、1990年に原則禁止となりました。
それに基づき、日本でも1992年に「種の保存法」を制定。違法な象牙の国内取引を防止する管理制度がつくられました。種の保存法では、新たに生牙(原木)・磨牙・彫牙など、全形を保持した象牙を売買することは原則禁止とされています。ただし「登録」した上で所持・売買することは可能。日本国内には、かつて合法的に輸入された象牙が多く存在します。全形を保持した象牙の国内在庫を把握することで、象牙をより厳格に管理しているのです。
全形を保持した象牙を持つ人は必ず登録が必要です。象牙を家族や友人に譲渡する場合でも登録が必要となります。印鑑やアクセサリーなどは登録の必要はありません。所有者が死亡した場合、近親者が相続することは合法ですが、譲り受けた人がその後不要となったからといって売買すると違法となってしまいます。あらかじめ登録をしておきましょう。
象牙を違法に売買した場合の罰則
登録していない象牙を違法に売買した場合、どのような罰則があるのでしょうか。
個人の場合
個人の場合は5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。
法人の場合
法人の場合は1億円以下の罰金が科せられます。
登録されていない象牙の受け渡しは、渡した側・受け取った側の両方に厳しい罰則がありますので、必ず登録を行いましょう。2019年夏から、象牙を取得した経緯を説明する書類の審査が厳しくなりました。登録しないまま放置していると、記憶があいまいになったり、書類を紛失したりする恐れがあります。早めに登録を済ませておくと安心です。
象牙の登録方法と売買する際の注意点
登録が必要な象牙は?
登録が必要な象牙は、生牙(原木)・磨牙・彫牙など、全形を保持した象牙です。印鑑やアクセサリーなどの加工品は登録対象外となっています。規制適用日前に取得されたものが対象であり、それぞれアジア象の象牙は1980年11月4日以前のもの、アフリカ象の象牙は1990年1月18日以前のものとなります。さらに、登録後には譲受けの届け出の提出が義務付けられています。
象牙の登録方法
象牙の登録までの流れを以下に順番にご紹介します。
2.必要書類の準備と送付
3.登録票が自宅に届く
登録に必要な書類
・象牙の画像(識別が可能な鮮明なカラー写真)
・自己申告書(象牙を取得した経緯など)
・身分証明書のコピー
・購入当時の領収書などの取得経緯の裏付け書類
・手数料
・第三者の証言(2019年7月より必要)
象牙の譲り受けの届出の方法
象牙を譲り受ける場合も届出が必要となります。譲り受けの登録までの流れを下記にご紹介します。ここではWebでの申請方法ですが、郵送でも登録は可能です。30日以内が期限となりますので、早めに登録を行いましょう。
・各種サービス→国際希少種の登録に進む
・「手続きの案内」→「器官登録に関するもの」を選択
・ウェブ届出を選択→(象牙やサイ角、毛皮製品の届出)に進む
・メールアドレスを入力
・メールを確認して届出URLにアクセス
・必要事項を入力
・送信
・確認事項がある場合は、後日担当者から連絡がある
登録・譲受けの届出が済んだ象牙は買取店へ
鑑定はプロに依頼
登録・譲受けの届出が済んだ象牙であれば、売買することが可能です。象牙の価値を正しく判断することは素人には難しいもの。価値がわからないものは鑑定士がいる買取店に査定を依頼しましょう。
買取店を選ぶポイントは?
象牙の鑑定士が在籍しており買取実績がある
象牙は種類や部位によって価値が大きく異なるため、知識と経験が豊富な専門の鑑定士が在籍しているかどうか確認しましょう。また過去に買取実績が豊富な業者であれば審美眼が養われているので安心してお願いすることが出来ます。高く売却できるルートも持っているため、査定額が上がる可能性もあります。
フロントや電話の対応が丁寧
受付での対応が丁寧な会社は、感じがよく疑問点があった場合に気軽に確認しやすいため、安心して利用することができます。きめ細かいサービスが行き届いており、品物も丁寧に扱ってくれます。
メディアにも露出している店舗
メディアに露出経験がある店舗は、豊富な知識と経験を持つスタッフがいることが保証されています。
象牙の登録や売買についての注意点・罰則について注意喚起している
象牙の売買には厳しいルールがあります。注意点や罰則について注意喚起している業者であれば、信頼して任せることができます。
売買後のアフターフォローに関する記述がWebサイトにある
象牙を売却したあとに後悔してしまうことがあるかもしれません。クーリングオフ制度を利用できるなど、アフターフォローが出来る業者だと最初から分かれば安心してお願いすることができます。何か疑問があれば気軽に相談をしてみましょう。
象牙高額買取
まとめ
象牙は、古くから世界中で愛され続けてきました。そのため象が絶滅の危機に瀕してしまい、現在では厳しく管理されています。このように貴重な素材であるため、現在では象牙の価値は上がり続けています。
厳しく管理されているとはいえ、きちんと登録を済ませておけば安心して所持や譲渡をすることができます。不明な点がある場合は、この記事を参考にして自然環境研究センターに問い合わせてみましょう。
価値の分からない象牙をお持ちの方や処分を考えている方は、古美術八光堂で一度査定してみてはいかがでしょうか。専門知識と経験豊富なスタッフが丁寧に鑑定いたします。汚れや傷があっても高値で取引されているものもあります。ぜひお気軽にご相談ください。
象牙高額買取